怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
つぶやく声
お気に入り
1225
39
0
1
長編5分
コピー
「つぶやく声」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
地元ではそこそこ有名な廃墟があるんだが、 実際に行ったことはなかったので 俺、H、Kの3人で肝試しに行った。 3人とも、幽霊はおろか 金縛りにも縁は無かった。 そのくせ3人とも妙にビビりなので、 誰が言い出した訳でもなく、 昼間に行く事になった(夜はDQNが多いという情報もあり)。 昔の別荘地か何かの一角だったらしいが、 今ではほとんどが伸び放題の草木に飲み込まれている。 他の建物は取り壊されて土台だけしか残っていないのに、 目的の廃墟だけが取り壊されずに残っているのは、 何か「いわく」でもあるのだろうか・・・そんな話をしながら、 車を降りて数百メートルの道のりを草を掻き分けて進むと、 その「物件」があった。 想像していたより大きく、 そして想像以上にボロボロの建物だった。 窓にはガラスは無く、 スプレーであちこちに落書きがされていたし、 一部屋根が崩れていた。 夜に来ていたら、 不気味すぎて建物の中に入ろうなんて思わなかっただろうと思う。 しかし真夏の日中の明るさと賑やかに鳴いてるセミの合唱のせいか、 ぜんぜん怖くはなかった。 なんて事ない、ありきたりな廃墟。 家具などはそのまま残されていてひどく荒らされていたけど、 当時はさぞかし綺麗な建物だったろう。 せっかく来たんだし一通り廻ってみるかという事で、 二階から探索を開始した。 が、ところどころに 他の侵入者が踏み抜いたと思われる穴が床のあちこちに開いていた。 あっさり二階は探索中止(ヘタレですまん)。 一歩一歩、 床の感触を確かめながら慎重に一階を廻ってみる。 荒らされてはいるが、 これを所有していた人物は 当時相当羽振りが良かっただろう事が伺える。 朽ちたソファーや食器棚などの家具が いちいち高そうだったから。 なんて事ない、ありきたりな廃墟。 ・・・のはずだった。 「うおぉっ!」 と突然Hが声を上げた。 振り返って見ると、 後ろを歩いていたHが床板を踏み抜いていた。 俺とKは腹を抱えて笑った。 Hは慎重に穴から足を抜くと、 自分の開けた穴を覗いていた。 俺は腹が減ってたし、 鬱蒼とした廃墟の雰囲気がそろそろ嫌になってきていた。 「怪我する前にそろそろ帰ろうぜ」 とHに言うとHは 「ちょっと待ってくれ」 と言い、 ポケットからペンサイズのマグライトを取り出して 穴の中を照らし始めた。 コイツの準備のよさ、何なの?と思っていると、 「下に何かあんの?」 とKが言った。 Hは「ん・・・何だ?・・・部屋か・・?うん、下に部屋があr・・・!」 不意に、Hの言葉が止まった。 K「どうした?何か見つけた?」 Hを見ると、 下を覗き込んだまま動かない。 何も言わない。 コイツ、また俺らをおどかそうとしてるなと思ったんだが、 近づいてみてすぐそうじゃない事がわかった。 Hはすごい量の汗をかいていて、 小刻みに震えていた。 全身が硬直しているという様子で、 口からよだれを垂らしていた。 「おい!おい!しっかりしろ!」 と揺さぶっても反応しない。 次の瞬間、震えはさらに大きくなり、 「カッ!・・・カハッ!」 と、 まるで首を絞められているかのように 喉から息が漏れる音がした。 Hは完全に白目を剥いて、 口から泡を吹き始めた。 穴の中から、 ボソボソつぶやいてるような声が聞こえた。 「ヤバイぞ、早くここを出よう」 そう言うとKはHを担いだ。 俺もKも顔面蒼白だった。 床板を踏み外さないように慎重に、 素早く歩いた。 出口が物凄く遠くに感じられた。 後ろから何か得体の知れないものが迫ってる気がして、 泣きそうになった。 建物を出ると、 あれほどやかましく鳴いていたセミが、 嘘みたいに静かになっていた。 藪の中を、 死に物狂いで走ってようやく車にたどり着いた。 峠を降りて町に近づく途中で、 Hの意識が戻った。 Hは泣きながら、しきりに 「助けて、助けて」と「寒い」を繰り返した。 そのまま俺らは麓のお寺へ向かった。 何故か、病院よりもお寺に行く方が正しく思えた。 ・・・寺での事は人に話すなと住職に言われたので端折ります。 とにかく、Hは無事に戻ってきた。 で、Hが何を見たのか。 泣きながら、震えながら、 Hが一度だけ話してくれた。 穴を覗きこむと、 下に空間があるのがわかった。 ライトで照らすと、 そこは地下室のようだった。 床にネズミと思われる小動物の骨が大量に散乱していた。 その時、ライトの光の中を何かが横切った。 その瞬間、金縛りに遭ったように動けなくなった。 「ソイツ」はライトの光の中にゆっくり入ってきた。 真っ白な皮膚でガリガリに痩せた、 男か女かは判らないが裸の人間のようだった。 なにかボソボソとつぶやいているようだった。 ボサボサの髪の毛がまばらに生えた頭が、 ユラユラしながら穴のすぐ真下に来た。 ソイツはゆっくりと顔を上げた。 顔はしわくちゃで、目は閉じていた。 その目がゆっくりと開いた。 白目や黒目の無い、血の塊のような真っ赤な目。 そして、憎悪むき出しの表情でHの顔を見上げた。 それを見た瞬間に、息ができなくなった。 そこから先は覚えていない。 俺もKも、ソイツの姿を見てはいないけど、 あの、ボソボソと何かをつぶやく声は今も覚えている。 ちなみに俺やHの身には別に特別な事は起きていない(今のところ)。 あれから4年経つけど、 いまだにHは時々お寺に通っているらしい。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった39
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
美味しいご飯が食べたくなる漫画⑦: おばあちゃん編 美味しいご飯が食べたくなる漫画【にしみつ】
追放された元雑用係、規格外の技術で「最高の修繕師」と呼ばれるようになりました~SSSランクパーティーや王族からの依頼が止まりません~2巻 (グラストCOMICS)
勇者パーティから追い出された不遇職【罠士】、ユニークスキル【矢印】で最強になる【電子単行本版】1 (comic スピラ)
スキル【再生】と【破壊】から始まる最強冒険者ライフ~ごみ拾いと追放されたけど規格外の力で成り上がる! ~2巻 (グラストCOMICS)
解雇された宮廷錬金術師は辺境で大農園を作り上げる~祖国を追い出されたけど、最強領地でスローライフを謳歌する~2巻 (グラストCOMICS)
解雇された宮廷錬金術師は辺境で大農園を作り上げる~祖国を追い出されたけど、最強領地でスローライフを謳歌する~1巻 (グラストCOMICS)
名無し
もし書いた人がNだったら3人合わせてNHKになってた
前の話:【洒落怖】右
次の話:【洒落怖】消えたK
怖い話 No.1219
【洒落怖】マリエ
1545
52
中編3分
怖い話 No.2218
【洒落怖】父親の面影
朗読 りょりょの怪談チャンネル【作業用かいだん朗読】
2127
37
長編6分
怖い話 No.14482
【洒落怖】ぴくりとも動かないお客様
1149
44
怖い話 No.7631
【洒落怖】赤子
1156
50
2
短編2分
怖い話 No.462
【洒落怖】ババア
朗読 朗読ランプ亭
2293
24
中編4分
怖い話 No.208
【洒落怖】佐伯さん
2046
43
怖い話 No.8079
【洒落怖】お地蔵さんの呪い
2279
怖い話 No.1891
【洒落怖】コンセント
1197
怖い話 No.22205
【洒落怖】無頓着な人間
1070
20
怖い話 No.417
【洒落怖】仏壇
2472
60
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
消えた彼女
でんわ
でんでん
着信7百回の男
戦中の魔物
オヤジ殺し
笑う女の夢
はいじま駅
団地での新聞配達