怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
狐の嫁入り
お気に入り
1442
28
0
中編4分
コピー
「狐の嫁入り」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
俺の実家は、山と湖に囲まれた田舎にあるんだけど、 小学校六年の時の夏休み、7月28日にツレ二人と湖に流れ込む川を溯って、 イワナ釣りに行く事になった。 雲一つも無いようなよく晴れた日で、 冷たい川の水がやけに気持ちよかった事を覚えてる。 俺らにとっては何度も通いつめた谷。 ポイントも殆ど分かっていて、 イワナ止めの滝に着く頃にはビクも一杯になっていた。 知らない人の為に一応書いておくが、 イワナ釣りってのは川を溯りながら釣りをし、 これ以上は魚が登れないような落差の大きい滝 (イワナ止めの滝)まで釣り上がり、そこで釣りは終了。 川を下って帰るんだけど、その日の俺らは魚も十分釣れたので、 邪魔くさい帰り道も、足取りは軽かった。 冗談を言ったり、川に入って泳いだりもしながら、 大きな淵まで下ってきた時、いきなり小雨が降って来た。 天気予報では降水確率0%だったので不思議に思ったんだけど、 それより驚いたのは、太陽は依然としてギラギラ輝いていて、 どこにも雨雲なんて無かったこと。 「おかしなこともあるもんだ」 とかツレと話していると、突然、 谷にこだまするほど大きな音で 「ケーーーーン」 と動物の鳴き声の様なものが辺りに響いた。 で、次の瞬間。 川の対岸の薄暗い杉林の中に、川上に向かってゆっくり歩いてく、 10人ほどの人の行列が現れた。 黒い紋付き袴を着た男達だったんだけど、 行列の中程に一人だけ、白無垢を着た女がいた。 俺らはもう完全に凍り付いていたんだけど、 なんか本能的に”逃げるべき”と思ったわけ。 ツレの一人が走りだすと、もうみんな一目散。 川にそって全力疾走した。 湖面が見えてくる頃には、不思議な雨もいつの間にか上がっていて、 漸く生きた心地がしたんだけど、 出てきた場所はなんと湖の対岸。 溯った川とは全く別の川の河口だった。 小さい湖だから、家に帰るにはそれほど大変ではないんだけど、 恐怖のあまり、どうやって帰ったのか全く記憶が無い。 なんとか家に辿り着くと、俺の顔を見るなり、祖母が血相変えて飛んできて、 「そんな死人みたいな顔して!山で何を見てきた!」 と、怒鳴ると、いきなり念仏を唱え始めた。 一緒にいた祖父にことのあらましを話すと、 「狐の嫁入りか。多分心配は無いと思うけど、魚は返しに行け」 と言うので、祖父に連れられて湖まで行き、ビクの中の魚をぶちまけた。 魚はもうとっくに死んでいて、白い腹を見せてプカプカと浮いていた。 高校を出て大学に入った年の夏休み、 帰省中にあの時の二人と海釣りに行く事になった。 しかし、出発直前になって 俺は寒気と吐き気と高熱に冒されて、行く事が出来なくなった。 一晩寝ると症状は嘘のように回復したが、 人生最大の悲しい知らせが待っていた。 友人二人が、道中の車の事故で亡くなっていた。 二人が他界してから10年以上が経った先週、いつもの通勤電車の中、 目の前に座っていたサラリーマンが読んでいた、 渓流釣りの雑誌をぼんやり見ていると、突然、 『もしかすると二人はあの時、魚を返さなかったのかも知れない』 という考えが、ふつふつと沸き上がってきた。 二人は祖父母を早くに亡くし核家族で、 誰も魚を返さなければいけない事を、教えてくれなかったのではないか。 だからあの時魚を返した俺だけが、 事故の日に高熱を発して、難を逃れたのではないか。 なぜ俺は魚を返さなければいけない事を、 二人に伝えてやれなかったのだろう。 もうどうしようも無い事だとは分かっていながら、 そう考えるといてもたってもいられなくなった。 で、その日のうちに会社に休暇願いを出して、 ようやく仕事が片付き、やっと今日から休み。 今、帰省中。 あの二人とよく一緒にファミコンしたりして遊んだ部屋でこれ書いてる。 明日は二人の墓参りに行って、伝えられなかった事を謝るつもり。 あと、あの時俺を助けてくれた祖父母の墓にも参ってこよう。 窓の外から湖の波の音がやけに聞こえてくる。 二人の時も祖父母の時も、 葬式で死ぬほど泣いたはずなんだけど、なんかまた泣けてきた。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった28
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
メイドインアビス(13) (バンブーコミックス)
メイドインアビス(8) (バンブーコミックス)
メイドインアビス(7) (バンブーコミックス)
メイドインアビス(6) (バンブーコミックス)
メイドインアビス(9) (バンブーコミックス)
メイドインアビス(10) (バンブーコミックス)
前の話:【じわ怖】サンユキサマ
次の話:【じわ怖】家電の付喪神?
怖い話 No.12554
【じわ怖】おばあちゃんの見舞いに行った
1066
31
短編2分
怖い話 No.5586
【じわ怖】水と音
937
39
短編1分
怖い話 No.4385
【じわ怖】藩主と家臣
1778
33
1
怖い話 No.4617
【じわ怖】首に緑色のあざ
1339
47
怖い話 No.19001
【じわ怖】鏡の中
1157
42
長編5分
怖い話 No.12568
【じわ怖】冷静で厳格な父を持つ友人
1544
48
怖い話 No.12720
【じわ怖】鼠の天麩羅
1556
22
長編11分
怖い話 No.13414
【じわ怖】球状の霧の塊
1291
29
怖い話 No.13042
【じわ怖】山の友達
1325
怖い話 No.12578
【じわ怖】水が流れる音
932
32
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
壁から200本の手が出てくる
山を登ろうとする夢
蝗の大群
取り囲まれた家
時空のお姉さん
遠泳実習
私の娘
知らない方が良いこともある