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とある団地の話
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これは私が今住んでいる所に引っ越す前の話なんですが、以前住んでいた県営住宅(まだ新しく中古で入居はしていません)は私が生まれて間もない頃に入ったそうです。 そこには私も小学校の5年までしか住んでいなかったんですが、13号棟まであり、子供が多い割には何故か人気が少ないように感じる土地でした。また、私達が住んでいた13号棟は小さい道路に挟まれ前の12号棟とも疎外感のある場所でした(ちなみに室号は404であからさまに不吉w)。 それは私が3歳頃、最初に経験したのは母でした。ある夜中、母は12号棟にある公園のほうからこちらへ歩いてくる人影を観たらしく、本能的に「ヤバイ」と思って、自分の家へ戻ったそうです。 その人影(よくよく見ると死装束を着た長い髪の女だったそうです)はスーっといった雰囲気で13号棟の1階1部屋ずつ、ノックをしては上の階へ上がって来ました。4階に住む母は、急いで家の鍵を閉めてふすまを閉じ(寝る前にふすまを閉める習慣だったので)、私たちが寝ている部屋へ来て寝たフリをしたそうです。 そして次に周ってくるのが「うちだ」と感じた瞬間、はっと目が覚めたそうで、気がつくと隣にはいつもの家族が眠っています。「あぁ、夢だったのか」と母がほっとして頭上にある時計を見ようとした瞬間、ふすまが半分ほど開いているのに気づきました。 そしてはっとした瞬間、金縛りにあい、うっすらと目をあけてみると目の前には先ほど目にした死装束の女性が、物凄い形相で母を睨んでいました。そして次の瞬間力任せに首を絞めてきたそうです。 「苦しい」と気が遠くなった瞬間、母は気を失ってしまったのですが、次の日起きるとふすまはやはり半分開いていました。それが、母にとって一番怖かった体験だったそうです。 次の体験者は私の弟でした。弟も親の血なのか子供の頃から結構見る体質だったらしく、異常なまでの怖がりで、小さい頃はいつも夜中にトイレに行くときは必ず家族を起こしていたのですが、何故かその日は1人でトイレに行こうと思ったらしく、ふきガラスつきの扉(どうもこの県住のデザインらしく、どこの家にも着いていました)を半分開いた瞬間、誰かがいるのが見え、よくよく見るとどうも母が観た例の女性と同じらしく(ですが母は「怖がりだから」と弟にはその話をしていません)、半泣きで私たちが寝ている部屋に戻ってきて詳細を話しました(それで母が上の体験を言ったものだから余計に弟は怖がりになってしまったんですがw)。 そしてある日、今度は父が妙なことを母に言いました。「お前、夜中何度も俺の手を撫でてるやろ」と。 母は私と弟と同室で寝ており、父はスペースがないので1人別室で寝ていたのですが、もちろん母は「そんなことしていない」と言い張ります。そしてある日、父がまた手を撫でられていると感じた時に、うっすらと目をあけて手のほうを見てみると、白い着物から伸びた青白い手が父の手を延々と撫でていたそうです。 今では父は「よく考えると母さんの手よりももっとほっそりとしてて綺麗だった」と笑い話にしていますが・・。そんな風に同一人物と思われる霊に私以外の家族全員が観たことになったのですが、これがあまりにも小学校の頃の私にとって、友達と話す時にいい話題になるので、ある日下校途中に、同じ13号棟に住む同い年の友達にこの話をしてみました(オチに使おうとその子には最後まで「同じ霊らしかった」とは言わなかったのですが)。 すると、その子も家で霊体験をしたことがあるらしく、これは弟と同じくふきガラスの扉を開いたときに見たそうなんですが、この話を聞いたとき私ははっとして、「もしかして、その幽霊って死装束を来た髪の長い女の人じゃなかった?」と尋ねたところ、友達は「うん、そうだよ。なんでわかったの?」と驚かれました。 もしかしたらこの霊は13号棟付近をうろついているのかもしれません。ちなみに、この霊だけでなく、昔実際に起きた事件で近所のどぶ川にまだ3歳頃の男の子が落ちて溺死したことがあってから、夜になると風もないのに放置された三輪車が勝手に動き回るのを目撃した人がいたり、団地の集会所にいった近所のオバサンによると「あそこに正座したおじいさんが時々いたり消えたりしている」と指差したり、(一度たくさんの人が目撃して騒動になったそうです)怪現象は後をたちませんでした。 その後、震災もあって私の家族はその団地を離れた(ガラも悪くなったので)のですが、私の家族の後に404号室に入った家族もいたようで、つい数年前母がまだ団地に住んでいた友達に会ったときにこっそりと話された話がこれでした。「あなたたちの後に入った家族・・男の子がいたんだけど、突然家で首を吊って自殺したのよ。 もう半年経つんだけどまだ原因不明なんだって」・・と。
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