怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
親父と心霊スポット
お気に入り
1004
7
0
長編5分
コピー
「親父と心霊スポット」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
俺と弟は心霊スポットが好きで、 曰く付きの廃墟とか夜中に侵入してた悪ガキだった。 残念ながら二人とも霊感はないから、 ほとんど廃墟探険なんだけど、 何もない田舎じゃそれだけでも楽しかった。 ある夜、親父が 「お前らもホント好きだな」 って笑いながら、 これから夜遊びしに行こうとする俺らを嗜めてきた。 この親にしてこの子ありって言うし、 親父も昔はこういう事やってたんだろうなぁと悟った俺は、 「今度親父も行かねぇか?」 って誘った。 そうしたら親父もまんざらでも無さそうに、 「仕方ねぇな」 と了承したので、 心霊スポット探索に、 近いうち連れていく事になった。 俺と弟はアホな悪ガキだったから、 「親父をドッキリにはめてやろうぜ」 ってことになり、 心霊スポットへ行く直前、 弟の車の後ろに、 絵の具でベタベタと赤い手形を付けていくことにした。 準備は万端、 晩酌で完全にデキあがった親父を 車に乗せるのは容易かった。 「全然怖くねぇよ!俺がお前らの頃には…」 と意気がる親父を尻目に、 ほくそ笑む俺と弟。 その日に向かった場所は、 3~40年ほど前、 村八分に合って暮らしていけなくなり、 一家心中をはかったという、 町外れにある木造の廃墟だ。 地元では結構有名なスポットであり、 近場でもあったため、 俺と弟の巡回コースだった。 国道から外れ、 ゴミ処理場へ続く町道を車で走る。 運転席は弟、助手席には俺。 後部座席には、 先程までふんぞり返っていた親父が、 言葉少なになっていた。 舗装されていない砂利道を、 ヘッドランプの明かりだけで車はひた走る。 周りには、 民家の明かりはもちろん街灯すらない。 ピシッピシッと フロントガラスに当たる枝も多くなってきた。 いつも通り 馬鹿話で盛り上がる俺と弟。 それに対して、 雰囲気に圧されたのか完璧に黙りこくる親父。 目的地の廃墟まで数百メートルというところでだ、 いきなり 「おめぇら!やめれ!」 と親父が叫んだ。 突然のことで、 俺もさすがに心臓が止まるかと思った。 弟もこれには急ブレーキ。 後部座席を覗くと、 怒り心頭っていうか、 何故か尋常じゃないくらいビビってる親父がいた。 「あんまビビルことないって」 「すぐそこだから」 と宥めすかす俺と弟。 それでも 「うるせぇ!ダメだ! この先に絶対行くな!帰るぞ!」 ときかない親父。 一悶着あったが、 家長である親父の命令には逆らえず、 結局バックしてそのまま帰ることになった。 帰り道、 肩透かしを食らい白けたムードの車内で、 「わりぃな。ビビっちまってよ…」 と、親父がぽつりと洩らした。 その後は、 「仕方ねぇな」 「親父、案外チキンじゃん」 「うるせぇ、バカヤロー」 と、 なんとか行きと同じムードに戻ったので、 俺は一安心した。 まぁ、本当のお楽しみはこれからだったしね。 家に到着し 車のエンジンを切る。 何食わぬ顔で車を降りた俺と弟だったが、 横目でしっかりと車の後ろへ回り込む親父の姿を捉えていた。 親父が後ろの手形を見つけた瞬間、 「ヒィッ!」 って叫び声を飲み込んだような声をあげた。 作戦は大成功だった。 当然、俺と弟は吹き出しそうになった。 それでも堪えて、 「親父どうしたんだ?」 って聞いたんだよね。 『しょうもないことすんな』 って親父からゲンコツ一発はもらうつもりでいたけど、 当の本人の様子は、 俺たちの予想とは大きくかけ離れていた。 真っ青になりながら、 「いや、なんでもない…」 って言って、 俺と弟の背中を強引に押し家に入った。 「なぁ親父…」 と食い下がっても、 「うるせぇ!」 と一喝される。 過剰ないたずらに怒ったのかなと思ったが、 やはりどちらかと言えば、 心の奥底から怯えていると言ったほうが正しいだろう。 「早く寝ろ」 と有無を言わせない命令をされた俺たちは、 ネタばらしすることもできず、 しかたなくそれぞれの部屋に戻った。 明らかにおかしい親父の態度のことを考えると、 俺は眠れることはできそうになかった。 2時か3時ごろだったと思う。 案の定眠れなかった俺は、 ぼんやり外を見てた。 すると、 庭の車に何か影が見えることに気付いた。 車の陰で動いているソレは、 ここからではちゃんと確認できない。 妙な胸騒ぎがしたので、 裏口からこっそり、 足音を立てないように車が見える所まで行った。 車の後ろの影は、 明らかに人のものだった。 ぎりぎりまで近づいて、 ようやく影が何かわかった。 正体は親父だった。 親父がこんな真夜中に、 バケツと雑巾を持って、 あの手形を洗い落としていたのだ。 しかもあろうことに、号泣しながら。 遠くからだったので、 多少脳内保管が入ってるかもしれないが、 こんな風に聞こえてきた。 「許してくれ…ウッ… 頼むからゆるしてけれ、な…ゆっ(ゆう?)ちゃん… あの子らだけは…後生…恨むなら……」 何かに詫び続けながら車を磨く親父を見て、 なんだか恐ろしくなり、 俺は急いで家に帰り布団に潜った。 翌朝、何事もなかったかのように 「おはよう」 と起きてきた親父。 それでも目には、 明らかに泣き腫らしたと見られる跡があった。 弟も昨日のことで釈然としないのか、 俺を問い詰めてきたが、 深夜の奇妙な行動を話すと、 さすがに顔を強ばらせた。 結局、あれから一度も、 親父にはこのことを話していない。 車の手形も綺麗さっぱり、 最初から無かったことになった。 そして例の心霊スポットには、 行くことはおろか話すことも、 俺と弟の間ではタブーになっている。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった7
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
ひっそりと話題になってる心霊系の本
心霊探偵八雲(12) (あすかコミックスDX)
訳アリ心霊マンション 4巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
訳アリ心霊マンション 3巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
会社を辞めてバイクにまたがり今日も会いにいく 日本一周心霊ノ旅
訳アリ心霊マンション 1巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
心霊スポットの漫喫でバイトしてた話 パチ美のWeb漫画まとめ
前の話:【洒落怖】罰当たり
次の話:【洒落怖】館の夢
怖い話 No.2022
【洒落怖】黒い人影
1051
19
短編1分
怖い話 No.14599
【洒落怖】お寺に泊まった
1890
49
中編3分
怖い話 No.1791
【洒落怖】49歳
1765
45
怖い話 No.9911
【洒落怖】仏壇の奥から
1572
38
1
怖い話 No.22286
【洒落怖】霊は孤独
953
14
怖い話 No.14648
【洒落怖】同じ名前の男の子
840
41
短編2分
怖い話 No.9468
【洒落怖】寄行
1336
24
怖い話 No.21557
【洒落怖】遊ぼうおじさん
977
怖い話 No.21532
【洒落怖】心理的瑕疵物件
1567
25
怖い話 No.9663
【洒落怖】子供の笑い声
1350
39
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
どうか呪わないで。 空き巣より
逆吸血鬼と存在しない町
一年に一度村を無人化
普通の彼女じゃない
あんた死ぬよ
降って沸いた心霊現象
好奇心
タヌキ
赤猫