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三角屋敷
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よし、18年ちかくだれにも話したことない話をしよう。 実話なので地名は伏せます。 直接かかわったわけではないので、 何がどうという詳細はよくわかりません。 現在はもうその土地を引越して、 私はすんでおりません。 いつのころからあるのかは知りません。 私が小学校に通い始め、 物心ついたころにはその家はすでにありました。 結構田舎で、学校に通うのに、 あぜ道を毎日かよっていました。 その途中にある一軒の家の話です。 その家は昔からあるというわけではなく、 和風建築の割とあたらしい家でした。 小学校1年~5年生までの間はなんの噂もなく、 私も気にとめておりませんでした。 5年生の夏の時期にA君が転校してきてから、 その家が、なんなのかわかりました。 その家の話を書く前に、ひとつ予備知識として、 その家のお向かいの家について、説明しないとなりません。 便宜上お向かいの家を家A。 問題の家を家Bとして書きます。 問題の家の立っている区画は、 私が生まれるころくらいからの、 いわゆる新興住宅地とよばれるところでした。 実際に家が建ち、川が整備され、 畑もなくなっています。 さて、家Aについてですが、 非常に奇妙というか異常というか、 玄関のどまん前に祠がたっております。 どれくらいどまん前かというと、 玄関あけて1メートルの場所。 道路-門-階段-祠-玄関という普通の1戸立ての家で、 でかい屋敷というわけでもありません。 なぜそんなことになっているのかというと、 私が聞いた話では、 家を建てたのはそこに土地をもっていた方で、 むかしから住んでいたと。 元々は田んぼで、 とりわけなにかしら因縁話もなかったと聞いております。 新しく県道が通るためにその土地を売って、 自宅もまぁ開発のために立て直したと、よくある話です。 そのさいに、 その場所にあった道祖神ですか、 おじぞうさまも丁寧に祈祷して、 場所も移しました。 家Aは何事もなく新築でたち、 その家の方も普通に住むようになりました。 しばらくして、ある日を境に、 家Aの中で赤ん坊の泣き声がするようになったそうです。 家の人は最初、 近所に赤ん坊のいる家族が引越してきた、 と思ってたそうなんですが、 夜昼関係なく一日中聞こえるようになって、 これはおかしいと思って、 ご近所にたずねたみたいです。 するとご近所の人全員、 近くに赤ん坊のいる家族が引っ越してきたと。 家Aの人と近所の方が、 声の発生場所を探しあてたところ、 家Aの地下から声がすると大騒ぎになりました。 いろいろお祓いとかやったそうですが効き目がなく、 偉い霊能者さんかお坊さまが、 「お地蔵様が原因なので、 もとの場所にもどしなさい」 と。 そういった経緯で家Aは、 私たちの間ではかなーり有名な場所でした。 小学5年生の時に引っ越していたA君は、 その家の向い側の家Bに住んだ友人でした。 A君はたしか、 1ヶ月もしないうちに家Bから引越しました。 まぁ、その時はとくに何事もなかったように時間はすぎ、 小学5年の冬に私はべつの土地にうつりました。 生まれ育った場所であり幼馴染もいましたから、 しばらくは連絡をとっていましたが、 進学し、社会人になり、すっかりわすれていました。 先日、幼馴染が結婚するということで、 10年ぶりくらいに生まれ故郷にもどり再会しました。 昔話に花を咲かせてわいわいとしてましたが、 私が 「あの地蔵の家まだあるなぁ」 といった所から、 話が変わっていきました。 ここからは友人Bの話です。 「地蔵の家より、 そのむかいの家おぼえてるか?」 「A君家族がたしか住んでたな」 と答えました。 「すぐに引越したの知ってるか?」 私が転校する寸前だったんで、 「覚えてる」 と答えました。 「なんでか知ってるか?」 「それは知らないな」 と答えました。 どうもその家Bは、 なにかしらが出るというのです。 10年ほどの間に、 10世帯以上が出たり入ったり、 ボヤが3度あったりしたそうです。 A君家族が引っ越したのも、 そのひとつだと。 原因はまったくわからないそうですが、 友人Bいわく、 あの家に1ヶ月以上住んでいた家族はいないと。 A君家族は何番目に入居したかはしらないが、 家の中で老婆が徘徊していたり、 庭に女の子がうろうろしていたり、 屋根に男がたってじっと外をみていると、 A君のお母さんが精神的にまいって、家を引っ越したと。 そのあとも何度かお祓いをしたと聞いたけども、 全然おさまっていないと。 高校の時にTV局かラジオ局かが、 霊能力者をつれて撮影をやったらしいが、 霊能者がその家の敷地に入るなりぶっ倒れて、 大騒ぎになってそのままおじゃんになったと。 私は 「家Bてなんだよ?」 ときいたら、 「生まれた時から住んでる俺らもわからん。 ただ、お墓の土つかってるとか、 地下に死体うまってるとか、 噂はあるけどどれもほんとかは怪しい。 ただ事実として、人は定着しないし、 俺も窓に何人も人がたっていて、 こっちをじっとみてたのをみたことある。 あそこは何かおかしい。 あぁそうだ。 家Bてさ、なんて呼ばれてるかしってるか?」 「知るわけないだろう」 「あそこの家ってさ、 なんでか知らないけど、敷地が三角形なんだよ。 だから三角屋敷て今よばれてんだ。 今も空き家だぞ。 帰るときに見たらいいよ」 そういう感じで別れ、 帰路に着きました。 もちろん気になったので、 帰りに家Bの前を通りのぞきました。 県道沿いのその家の前には土嚢がつんであり、 入り口が見えない状態になっていました。 見た瞬間に、 あからさまにおかしい。 それ以上は近づかないようにして、 家に帰りました。 その話をきいて、 思い出したことがありました。 10年以上たって、 記憶がおかしくなっていたのかと思っていましたが、 あの家Bの屋根の上に何人も人が立って、 こっちを見ながらゲラゲラ大笑いをしてたのを、 集団下校してた友人たちと見て、 泣きながら走って帰ったことがあったなと。
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