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好きなら離れなさい

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  僕が死ぬだけの百物語（１） (サンデーうぇぶりコミックス)

• 有名な占い師に占ってもらおうとしたら、
  
  「あなたはいいの」
  
  と言われ占ってもらえず、
  その後死んだみたいな話あるよね。
  
  私もそれ言われたことある。
  
  友人に連れられて
  K県Y市の有名な観光地に遊びに行った時のこと。
  
  赤レンガで有名な観光スポットでやってたビアフェスに行ったんだけど、
  漫画の影響で長蛇の列、数時間待ちと言われたので諦めた。
  
  代わりにその近くのショッピングモールで買い物して帰ろー
  ってことになった。
  
  そこに占いの館？というほどでもないんだけど、
  一角を仕切りで囲った程度の占いスポットみたいなところがあった。
  
  
  友人が
  
  「占いやってみたい！」
  
  というので立ち寄った。
  
  中に入った瞬間、
  占い師の人が私の顔を見てビクッ！！！とした。
  
  ギャグかよっていうくらい分かりやすく動揺してた。
  
  その後、友人が占ってもらう席に座り、
  私はその横の友人席（？）的なところに座った。
  
  まぁ占ってもらったことがないので
  それが普通なのかもしれないけど、
  占い師の女性は絶対に私のことを見なかった。
  
  終始友人にだけ視線を向け、なんか、暗に、
  
  「友人関係を見直したほうがいい」
  
  的なことを言ってた。
  
  「交友関係が滞っている。
  新しい出会いを探すべき」
  
  とか、
  
  「古い関係は断ち切り、
  新しい風を入れると運気が上がる」
  
  とか。
  
  イラっとしたんだけど、黙って聞いてた。
  
  友人もなんとなく嫌な空気を察したのか、
  
  「えー友人いる横でそういうこと言います？」
  
  とか笑いつつ、
  ちょっと怒った感じで返してた。
  
  そしたら占い師の人が突然ガッ！！！
  とこっちを向いて、
  
  「あなた、この子はすごくいい子だよ。
  お願いだから離れてあげて」
  
  って言ったのよ。
  
  友人も、私も驚いて一瞬固まった。
  
  そしたら占い師の人が、
  
  「この子が好きなら、離れなさい」
  
  って真剣な顔で言うの。
  
  意味がわからなくて、
  ぽかーんとしてたら、
  友人が、
  
  「失礼すぎますよ！！何なんですか！！！」
  
  って怒ってた。
  
  そのまま叩きつけるようにお会計払って、
  プンスカしながらその場を後にした。
  
  友人とは、
  
  「なんなのあのババア」
  
  と言いつつ、
  近くの飲み屋街でカラオケしつつガンガン飲んだ。
  
  その友人はその3年後に、
  女性特有のガンで亡くなった。
  
  20代前半だったのであっという間だった。
  
  彼女が亡くなる前、
  私は結婚してた。
  
  彼女が亡くなった時、
  一番支えてくれたのは夫だった。
  
  彼女が亡くなって数年後、
  だいぶ立ち直った私を夫が旅行に誘ってくれた。
  
  N県の中華街でやっているお祭りを見に行った。
  
  そこでも占いの館？的なお店はあったけど、
  彼女のことがトラウマになってたし、
  そもそも占いなんて信じてなかったので行かなかった。
  
  夫も、私も、飲むのが大好きだったので、
  その日はお祭り会場近くの中華料理屋に入って、
  たくさん飲もうね！という感じだった。
  
  そして評判の良かった中華料理屋に入った所で、
  そのお店のおばあさん（？）にギョッと見られたのを感じた。
  
  夫も感じたようで、
  
  「出る？」
  
  と聞いてくれたんだけど、
  楽しみにしていたお店だしと思って、
  そのまま着席。
  
  店にいる間終始おばあさんの視線は感じたものの、
  お料理もお酒も期待以上に美味しくて大満足。
  
  夫も私もほろ酔いで、
  入店した時の違和感はどうでもよくなってた。
  
  沢山飲み食いして、そろそろお会計を、
  と言うタイミングで、
  件のおばあさんがこっちへ来た。
  
  ニコニコしつつ
  
  「本日はありがとうございます」
  
  と言いながら。
  
  私は
  
  「ああ前のことがあったから変に神経質になってたのか」
  
  と思った。
  
  夫も同じようだったみたいで、
  ニコニコしながら、
  
  「本当に美味しかったです。ご馳走様です」
  
  と言いながら、レジに向かった。
  
  私もお礼を言いつつ荷物を手に取り立とうとした瞬間、
  
  「あんたは、人と深く関わっちゃいけないよ。
  あの人、すごくいい人。
  好きなら離れなさい」
  
  と、突然低い声でおばあさんが喋った。
  
  ぽかーんとしている間に、
  それを聞いてたお店の奥さん（？）に、
  
  「おばあちゃん！！！
  ごめんなさいね。最近ちょっとボケてて」
  
  って言われながら
  お店の奥に引っ張って連れて行かれた。
  
  会計を済ませた夫が
  妙な空気を察して大丈夫？と言ってくれたけど、
  大丈夫としか言いようがなくて、
  そのままホテルに戻った。
  
  夫はその2年後、
  膵臓癌で亡くなった。
  
  まだ20代だった。
  
  実は私の母も、父も、ガンで他界している。
  
  私が10代の頃。
  
  面倒を見てくれた祖母も、
  10代の時にガンになったが、
  年齢的に進行が遅く、
  大学を卒業する年まではなんとか一緒にいてくれた。
  
  そして今、結婚を前提に、
  と交際を申し込んでくれている男性がいる。
  
  過去、夫を亡くしていることを知った上での申し出。
  
  とてもいい人で、
  彼も私も、まだギリギリ20代。
  
  まだやり直せるのかもしれないと思いつつ、
  占いなんてバカバカしいと思いつつ、
  どうしても2人の女性に言われた、
  
  「あの人はいい人、あなたは離れたほうがいい」
  
  という言葉に囚われてしまっている気がする。
  
  占いなんて信じる必要ないですよね？

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• コメント

• 1：

  名無し

  2025/02/03(月) 21:02:29

  肉親が癌で死去したのは、単に癌家系だから。むしろ投稿者自身も、積極的に癌検診を受けた方が良い。
  
  二人に一人が癌で死去する現代、親しい方が死去してしまうのも、単に確率の問題だけだろう。

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