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自殺支援サイト
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ネットやってるといろんなやついるよな。荒らしとか、冷やかしとか、ネットでお悩み相談してるやつとか。そんな俺は、いわゆる『引きこもり』ってやつだ。何度か自殺も考えたよ。自殺支援サイトって知ってるよな?一回いったことあるんだよ。そこでさ、HN『ピロリン』ってやつが仲間を集めてたわけね。俺も死のうと思って参加したわけよ。んで、まあやっぱり、いかにも過去につらい思い出がありましたってツラのやつが集まったわけさ。 下は15歳ぐらいのガキから、上は60超えるジジイまでな。でも、主催者のピロリンだけが来なかったわけよ。野郎ドタンバでビビリやがったな、って思ってよ。しょうがないから、主催者抜きで自殺することになったんだ。で、そしたら、死ぬ前に遺書とか残したいじゃん。みんなで遺書書いてるわけよ。俺も遺書書こうと思ったけど、どうせなら電話で、昔俺のこと虐待してくれさった親父に、文句のひとつでも言ってやろうと思って、親父の携帯に電話したわけさ。「もしもし」『もしもし○和(俺の名前ね)。今どこにいるの?お父さんが大変なの!』電話に出たのお袋でよ。親父がぶったおれたらしいんだ。驚いて、自殺のことも忘れてトンで帰ったよ。病院いったらもう親父死んでてね。死因聞いたら殺人だとよ。胸にナイフ刺されてたそうな。まあ俺は親父嫌いだったから、死ぬ前に親父の死に目が見れてうれしかったし、犯人に感謝したよ。でも結局、それ以来自殺する機会失っちまってなぁ…そういえば、あのとき一緒に自殺しようとしてたやつらな。地方のニュースでやってたけど、自殺成功したらしいよ。それが問題で、あの支援サイトも閉鎖になってな。とうとう俺も行き詰まりよ。なんかその気も失せちゃって、その後はなんとなーくつまらん人生送ってたわけ。ここまでが19のときの話。んで、こっからが20のときの話。親父が死んでから、お袋変わっちまってなぁ…すっかり生きる気力なくして、親父の後追うようにお袋が自殺したよ。俺はっつうと、一人っ子で身よりもなかったし、こんな家いたくないから、とっとと土地売りはらって仙台に移り住んで、適当に仕事探してフリーターしてたもんよ。まあでも、俺って学歴も資格もしょぼかったんで、都心じゃ道路整備の仕事とかそんなんしかなくてな。だるい肉体労働生活してたのよ。そしたらそこで偶然にも、中学のときの後輩にあってさ。そいつったらヤンキーやってて、今度遊ぼうぜって誘われたわけ。で、アーケードわかる?あそこって10時すぎるとほとんど店もしまって、人通りも少なくなるから、夜中にそこで待ち合わせしたわけ。まあ今度仙台いってみそ。そしたらそいつ(陸っつうんだけど)、路上で3人ぐらいのババアにかこまれて、「まあカワイイ♪うちの娘の旦那にしたいわぁ~」とかいわれてて。そのそばで、携帯のストラップあるじゃん。あれ売ってる30ぐらいの親父がいて、その親父のそばには19、20ぐらいのわけぇ兄ちゃんや姉ちゃんがいてさ、タバコすっとるわけよ。変な光景かな?なんか話しかけづらいから、とりあえず俺もタバコでも吸いながら地面に座って待ってたの。10分ぐらいしたかな?そのババアどもが陸にバイバイ言いながらかえっちって、「おまたせ」陸がこっち来たわけよ。そっから陸にいろいろ友達紹介されてさ、そこにいたやつら、30ぐらいのおっさんのミッチーっつうやつも含めて、みんなそいつの友達なんだと。そっからみんなで飯くい行くことになってな、店で話し込んじまったよ。で、俺はっつうと、そのミッチーってやつとなんか気があっちまってな。可愛い女のことかもたくさんいたんだけど、朝までミッチーと話し込んでて、んで、皆が帰った後も二人で飲んでたわけ。ミッチーは32のおっさんで、板前やってるデブで、それだと若いコとの出会いがないから、出会いを求めて、夜中になるとアーケードで、無許可でストラップ売ってるんだと。そんなことしてると、若いコよってくるジャン?そのときに陸と知り合ったらしくてね。(ちなみに陸は男だぞ)いっしょにいた兄ちゃんも姉ちゃんも、ヒマだからミッチーの手伝いで客引きとかしてたんだと。俺も面白そうだなと思って、昼間は道路整備の仕事して、夜になるとミッチーのとこいって客引きやったりしてたわけ。まあボランティアだから、客引きは金にはならんけど。そのおかげで俺も友達いっぱい出来てさ、女の子の友達も結構出来たわけ。なんかだんだん人生が楽しくなってきてさ、不思議なもんだよ。20になるまで死ぬこと考えてた引きこもりが、気がつくと、生きてることがたのしくてたのしくてしょうがなくなっちまってよ。だけど、楽しい時間はそんなに長く続かなかったよ。ある日、雨のよく降る日だったからかなぁ~すごく記憶に残ってるんだけど、ミッチーが自宅で首つって自殺したんだよね。なんか店の経営がうまくいかなくて、いろんなとこに借金しててさ、毎日とりたて屋が店に来てて、それが苦になって死んだらしい。店の経営のことなんて全然話さなくてさ、そんなになるほど苦しんでたなら相談して欲しかったよ。ミッチーがいなくなると、俺らもアーケードに行く理由なくなるじゃん。それに、お互いあうとミッチーのこと思い出しちゃうし、なんかいきなしあいづらくなってさ、仕事にしたっていまいち身が入らなかったんだよね。んで嫌になってきて、道路整備の仕事やめて地元帰ってきちゃったよ。ここまでが20の話。こっからが21の話。地元でアパート借りて、そっからは友達とかそういうのなんか嫌で、誰とも仲良くしないようにしながら、スーパーのパートやりながら生きてたよ。久々にネットやっててさ、そういえば、19のときの自殺支援サイトのこと思い出して、似たようなサイトネットで探したわけよ。んで見つけて、掲示板に面白半分で書き込みしたのね、僕と自殺しませんか~って。そしてメールがきたのよ、あいつから…ピロリンだよピロリン。『ピロリンさん 200X/XX/XX(木)僕は××県のとある社会人です、生きていることが嫌で嫌で死にたいです。良かったら僕と一緒に死にましょう』なんとなく気になっちゃってさ、メールしてみたのよ。んであう約束してさ…会社休んでそいつに直で会ってさ、あのときなんで来なかったのか、あれからなんで2年もの間生きてたのか、どうして死にたいのか、いろいろ聞きたくてね。適当に喫茶店で待ち合わせして、先にいって待ってたら、そいつ昼間から厚手のコート着て、でっかい帽子かぶっててさ、いかにも人目さけてる感じで近づいてくんの。「お待たせしました、ピロリンです」なーんかおかしいんだよねそいつ。どっかであってる気がしてさ。んで、よーく顔みたら似てるんだよね。似てるんだよ、俺に…「僕はあなたのことを昔から知っています。2年前にあなたが自殺したがってたことも、両親が死んだことも、去年あなたの友達が自殺したこともね。僕の顔、そっくりでしょう。似てるはずですよ。あなたの父親は昔から女癖が悪くて、結婚してからもよく浮気してたんですよ。知ってましたか?あなたの父親が浮気相手と作った子供のこと。それが僕ですよお兄さん」そいつは、俺の腹違いの弟だった。そしてそいつの母親は、親父との結ばれない関係を苦にして自殺したらしい。そいつの話だと2年前、通り魔事件で親父を殺したのは自分だという。そいで、親父の息子だった俺にも復讐したかったんだと。どこから手に入れたのか、そいついきなり拳銃出してよ、目つむりながら、ああ、俺の人生もこんなもんかって思ったよ。バーンって音がなって、キャーって店の客が悲鳴あげてよ。俺は椅子から転げ落ちて倒れこんでよ。「救急車、店長救急車呼んでください!」きっと店員さんが、俺のために救急車呼んでくれてるんだろうな。でももうだめだよ、撃たれてるし。どうせならこのまま死なせてくれって思ってたら、あれ?どこも痛くないんだよね。起き上がってまわりの様子みたら、俺の弟だっていってたそいつが、頭から血だしてぶっ倒れてるんだよね。結局そいつは、俺にその光景を見せたくて呼び出したらしくて、そいつも自殺したんだよ。これでとりあえずこの話は終わりなんだけどさ、2年前のあの日、あいつは自殺しようとして支援サイトで仲間を集めたけど、ドタンバで死ぬ前に親父殺すこと思いついて、んで親父を殺し、そのあとで、どうせなら俺の前で死のうとして、俺を2年間探してたんだろうね。で、地元戻った俺をみつけて、自殺サイトにたまたま俺が書き込みしてたから、うまく連絡とって会う約束してきたんだよ。別に怖い話じゃなかったから、面白くなかったかもね。ただなんつーか、誰かに言いたかった。今でも俺は仲間は作らないようにしてるよ。家族も恋人も友達もなにもいらん。もう人の死にはかかわりたくないし。
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