怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
握られた髪の毛
お気に入り
1840
37
1
0
中編4分
コピー
「握られた髪の毛」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
私は仰向けで寝ることが出来ません。 修学旅行で友人達と一緒に寝たときなど「苦しくないの?」とうつぶせで寝ている私は聞かれたりしました。うつぶせで寝ると顔の骨が歪んだり、心臓に負担がかかってしまうとテレビなどで聞いたこともあります。 でも、私はあの日以来天井を向いて寝ることが出来なくなってしまったのです。あれは確か13年前の夏休み。 私が9歳の時のことです。母の実家は長野にあり、我が家では夏休みと冬休みにそこへ行くのが習慣のようになっていました。 弟は6歳でこの年に小学校に入学し、そのためか祖父母はいつにもまして私たちを温かく迎えてくれました。母の実家は幼心にもう何百年もここに建っているのではないかと思ったほど年季の入った大きな平屋で、祖父母はそこで農家を営んでいました。 ちょうど私たちがここを訪れる頃には、近所でお盆のお祭りがやっていて、私にとってはそのお祭りこそが祖父母の家に行く一番の目的でもありました。そう、あの夜も確かお祭の日でした。 祖父に散々お金を使わせ、私と弟がお祭りから帰って来ると、もう時刻は夜の10時を過ぎていました。母に促されるまま私たちはお風呂(ドラム缶を使った五右衛門風呂のような物でした。 に入り、『いつもの部屋』に向かいました。その部屋は普段は物置に使っている屋根裏部屋で私たちが来るときだけ祖父と祖母が私たちが寝られるように、そこを片づけておいてくれるのでした。 部屋の中は少しだけかびくさくて、木の匂いがして、なぜか私たちはその部屋が好きでした。まるで私たちだけの秘密基地のようで、この部屋で寝るときはとてもわくわくしたものでした。 私は小さい頃からあまり寝付きがいい方ではなく、その日も弟が寝てしまった後も一人、布団の中でぼんやりと下での両親と祖父母、そして近所に住んでいた叔父と叔母の、かなりお酒が入っている様子の話し声や笑い声を聞いていました。しかし、やがてそれも消え、階段下から漏れていた1階の明かりも消されると私はとたんに怖くなりました。 家中で起きているのは自分だけなのだと思うと心細くなったのです。私は早く寝てしまおうと、ぎゅっと目をつぶりました。 しかし、そう簡単に眠れるものではありません。私は目をつぶったまま、じっと朝を待ちました。 目を開けるのが怖かったのです。ふと、誰かの声が聞こえました。 いえ、声というのは適切ではないかも知れません。息づかい、と言った方がいいかも知れません。 「はあ・・・はあ・・・」という喘ぐような、苦しそうな声でした。「・・・ヒロキ?」私は弟の名前を呼んでみました。 この部屋には私の他に弟しかいないはずなのです。答えはありませんでした。 ただ、苦しそうな息づかいが聞こえるだけです。女性の声・・・若い女の人の声のような感じがしました。 私は思いきって目を開けました。・・・誰もいないのです。 ついさっきまで前髪に息がかかっていたほど近くにいたはずなのに・・・。足音なども聞こえませんでした。 私はぞっとして部屋中を見回しました。誰もいません。 いよいよ怖くなった私は隣で寝ていた弟をひっぱたいて起こし、文句を言われながらも私がいいと言うまで起きていてほしいと頼みました。私は布団を弟の布団とくっつけて、嫌がる弟の手を無理矢理握って目をつぶりました。 自分以外に人がいることを確認していたかったのです。しばらくして、ようやくうとうとし始めたとき、何かが私の頬に触れました。 髪の毛・・・・?それは人間の髪の毛の様でした。とても長い髪の毛・・・今この家の中にいる人でこんな長い髪の毛の人はいないはずでした。 第一、足音が聞こえなかったのですから下から誰かが上がってきたのではないはずです。私は弟の手をぎゅっと握っていました。 気がつくと、弟もその手を握り返しているのです。弟の手は汗でびっしょりでした。 「姉ちゃん、姉ちゃん・・・」弟は私を呼んでいました。「もういい・・・?もういいって言ってよ!もうやだよ・・・姉ちゃん・・・」弟の声は震えていて、泣いているようでした。 さっきの女性の声が聞こえました。「で・・・・け・・・・で・・・・け・・・」その声が何を言おうとしているのか解ったとき、私は悲鳴を上げていました。 「で・・・いけ・・・・でて・・・け・・・・でていけ・・・」気がつくと朝でした。私は呆然としていました。 あれは夢だったのでしょうか?慣れない布団や枕で寝たせいで妙な夢を見たのでしょうか?弟があの夜、一体何にあれほど怯えていたのかは、本人も覚えていないそうです。と言うより、彼はあの夜、私に起こされてからの記憶は全くないと言っていました。 しかし、あれが現実の出来事だった証拠も、たった一つだけ「彼女」は残していました。目覚めた私の右手には、自分の物ではない長い数本の髪の毛が、いつの間にか握られていたからです。 私はあの夜の出来事は本当のことだと信じています。私は仰向けで寝ることが出来ません。 うつぶせなら、少なくとも目を開けても「彼女」の顔を直接見なくて済みますから。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった37
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
ひっそりと話題になってる心霊系の本
会社を辞めてバイクにまたがり今日も会いにいく 日本一周心霊ノ旅
訳アリ心霊マンション 4巻【電子特典付き】 (バンチコミックス)
あかりとシロの心霊夜話 36巻
邪鬼の泪 浮雲心霊奇譚 (集英社文芸単行本)
心霊探偵八雲1 完全版 赤い瞳は知っている 心霊探偵八雲 完全版 (講談社文庫)
心霊リスクマネジメント事例集2: ビジネス専門の霊能者「霊視経営コンサルタント」が教える「心霊リスクマネジメント」の事例をまとめた続編|前作1巻とは異なる事例が満載でビジネス上の心霊リスクや霊的なリスクヘッジの事例を知りたい時に辞典や辞書としても活用できる便利な事例集|ビジネスに必要なリスクマネジメントの一つである心霊リスクを知れる専門書|心霊リスクをビジネスに活かすヒントが知れる一冊 ... (霊視経営出版)
前の話:【洒落怖】父を騙るモノ
次の話:【洒落怖】防空壕
怖い話 No.2323
【洒落怖】中古品が怖い
1011
35
短編1分
怖い話 No.1679
【洒落怖】クローゼットの中身
888
45
短編2分
怖い話 No.9676
【洒落怖】ほとんどが子供の手の届かないところにあった
1594
38
怖い話 No.9754
【洒落怖】幽霊船
1760
30
中編3分
怖い話 No.9370
【洒落怖】呪いの店
1512
17
2
長編7分
怖い話 No.903
【洒落怖】ぬいぐるみ
1668
49
怖い話 No.9479
【洒落怖】指の皮を剥く女
1233
31
怖い話 No.7717
【洒落怖】大きな老婆
1645
52
怖い話 No.2097
【洒落怖】奥の間
1521
42
怖い話 No.1418
【洒落怖】夜中に遊ぶ子供達
1936
44
3
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
袋叩き
ペイント
ばあちゃんの人形
呪いのエノキ人形
ラフレシアを求めて
読書家
拍子抜け
水泳部はほとんどが女子
自称犯人