怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
霊柩車
お気に入り
2773
45
1
長編5分
コピー
「霊柩車」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
Kさんという若い女性が、 両親そしておばあちゃんと一緒に住んでいました。 おばあちゃんは もともとはとても気だてのよい人だったらしいのですが、 数年前から寝たきりになり、 だんだん偏屈になってしまい、 介護をする母親に向かってねちねちと愚痴や嫌味をいうばかりでなく 「あんたたちは私が早く死ねばいいと思っているんだろう」 などと繰り返したりしたため、 愛想がつかされて本当にそう思われるようになりました。 介護は雑になり、 運動も満足にさせて貰えず、 食事の質も落ちたために、 加速度的に身体が弱っていきました。 最後には布団から起き出すどころか、 身体も動かせず口すらもきけず、 ただ布団の中で息をしているだけ というような状態になりました。 はたから見ていても 命が長くないだろうことは明らかでした。 さてKさんの部屋は2階にあり、 ある晩彼女が寝ていると、 不意に外でクラクションの音が響きました。 Kさんはそのまま気にせず寝ていたのですが、 しばらくするとまた音がします。 何回も何回も鳴るので、時間が時間ですし、 あまりの非常識さに腹を立ててカーテンをめくって外を見ました。 Kさんはぞっとしました。 家の前に止まっていたのは 大きな一台の霊柩車だったのです。 はたして人が乗っているのかいないのか、 エンジンをかけている様子もなく、 ひっそりとしています。 Kさんは恐くなって布団を頭から被りました。 ガタガタとふるえていましたが、 その後は何の音もすることなく、 実に静かなものでした。 朝になってKさんは、 両親に昨日の夜クラクションの音を聞かなかったかどうか尋ねました。 二人は知らないといいます。 あれだけの音を出していて気づかないわけはありませんが、 両親が嘘をついているようにも見えないし、 またつく理由もないように思われました。 朝になって多少は冷静な思考を取り戻したのでしょう、 Kさんは、あれはもしかして おばあちゃんを迎えに来たのではないかという結論に至りました。 彼女にはそれ以外考えられなかったのです。 しかし、おばあちゃんは相変わらず「元気」なままでした。 翌日の夜にも霊柩車はやって来ました。 次の夜もです。 Kさんは無視しようとしたのですが、 不思議なことにKさんが2階から車を見下ろさない限り、 クラクションの音は絶対に鳴りやまないのでした。 恐怖でまんじりともしない夜が続いたため、 Kさんは次第にノイローゼ気味になっていきました。 7日目のことです。 両親がある用事で 親戚の家に出かけなくてはならなくなりました。 本当はKさんも行くのが望ましく、 また本人も他人には言えない理由でそう希望したのですが、 おばあちゃんがいるので誰かが必ずそばにいなくてはなりません。 Kさんはご存じのようにノイローゼで 精神状態がすぐれなかったために、 両親はなかば強制的に留守番を命じつつ、 二人揃って車で出ていきました。 Kさんは恐怖を紛らわそうとして 出来るだけ楽しいTV番組を見るように努めました。 おばあちゃんの部屋には恐くて近寄りもせず、 食べさせなくてはいけない昼食もそのままにして 放っておきました。 さて両親は夕方には帰ると言い残して行きましたが、 約束の時間になっても帰って来る気配がありません。 時刻は夜9時を回り、やがて12時が過ぎ、 いつも霊柩車がやって来る時間が刻一刻と迫ってきても、 連絡の電話一本すらないありさまなのでした。 はたして、その日もクラクションは鳴りました。 Kさんはそのとき1階にいたのですが、 間近で見るのはあまりにも嫌だったので、 いつもの通りに2階の窓から外を見下ろしました。 ところがどうでしょう。 いつもはひっそりとしていた車から、 何人もの黒い服を着た人達が下りてきて、 門を開けて入ってくるではありませんか。 Kさんはすっかり恐ろしくなってしまいました。 そのうちに階下でチャイムの鳴る音が聞こえました。 しつこく鳴り続けています。 チャイムは軽いノックの音になり、 しまいにはもの凄い勢いでドアが 「ドンドンドンドンドンドン!」 と叩かれ始めました。 Kさんはもう生きた心地もしません。 ところがKさんの頭の中に、 「もしかして玄関のドアを閉め忘れてはいないか」 という不安が浮かびました。 考えれば考えるほど閉め忘れたような気がします。 Kさんは跳び上がり、 ものすごい勢いで階段をかけ下りると 玄関に向かいました。 ところがドアに到達するその瞬間、 玄関脇の電話機がけたたましく鳴り始めたのです。 激しくドアを叩く音は続いています。 Kさんの足はピタリととまり動けなくなり、 両耳をおさえて叫び出したくなる衝動を我慢しながら、 勢いよく受話器を取りました。 「もしもし!もしもし!もしもし!」 「○○さんのお宅ですか」 意外なことに、 やわらかい男の人の声でした。 「こちら警察です。 実は落ち着いて聞いていただきたいんですが、 先ほどご両親が交通事故で亡くなられたんです。 あのう、娘さんですよね? もしもし、もしもし・・・」 Kさんは呆然と立ちすくみました。 不思議なことに さっきまでやかましく叩かれていたドアは、 何事もなかったかのようにひっそりと静まり返っていました。 Kさんは考えました。 もしかしてあの霊柩車は両親を乗せに来たのでしょうか? おばあちゃんを連れに来たのでなく? そういえば、 おばあちゃんはどうなったのだろう? その時後ろから肩を叩かれ、 Kさんが振り返ると、 動けない筈のおばあちゃんが立っていて、 Kさんに向かって笑いながらこう言いました。 「お前も乗るんだよ」
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった45
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
BLUE GIANT MOMENTUM(3) (ビッグコミックススペシャル)
ぼっち・ざ・ろっく! 7巻 (まんがタイムKRコミックス)
交響詩篇エウレカセブン(1) (角川コミックス・エース)
交響詩篇エウレカセブン(4) (角川コミックス・エース)
交響詩篇エウレカセブン(6) (角川コミックス・エース)
NHKにようこそ!(8) (角川コミックス・エース)
名無し
簡潔で怖い。作者は一角の人物だと思う。毎年一度は読みたくなる名作。
前の話:【洒落怖】ある新築マンションの玄関
次の話:【洒落怖】ザキ
怖い話 No.9748
【洒落怖】階上の子どもたち
2326
49
0
中編4分
怖い話 No.2092
【洒落怖】自分を観察
1303
42
短編2分
怖い話 No.9325
【洒落怖】深夜の侵入者
2650
39
長編6分
怖い話 No.7762
【洒落怖】漫画のような話
1154
22
怖い話 No.7980
【洒落怖】呪詛
1794
43
怖い話 No.20259
【洒落怖】女性漫画家
1539
48
怖い話 No.8412
【洒落怖】怪しい若い男
1461
25
怖い話 No.9213
【洒落怖】心残り
1936
30
怖い話 No.22900
【洒落怖】浄化槽の埋設工事
870
7
怖い話 No.21525
【洒落怖】生まれて来たモノ
1041
34
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
袋叩き
ペイント
ばあちゃんの人形
呪いのエノキ人形
ラフレシアを求めて
読書家
拍子抜け
水泳部はほとんどが女子
自称犯人