怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
おっちゃん
お気に入り
2030
31
0
中編4分
コピー
「おっちゃん」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
社会人になりたての頃、 学生時代の仲間数人で 海辺の民宿に泊まり込んだ時の出来事。 新社会人のプレッシャーを忘れ、 学生気分でダラダラ過ごそうと企画されたお気楽一泊。 日中、 存分に海水浴を楽しんだ後で 俺たちは宿に戻り、 たそがれ時の薄暗い室内で一息ついていた。 「なあ、飯食ったら花火するんだろ?」 「買いにいかなきゃ。 コンビニ遠いぞ」 「ドリンクも切れたし 行くしかないだろ」 「それより裏山で肝試ししねぇ?」 なんて話をしていると、 部屋のふすまがガラっと開いた。 そこに立っていたのは、 俺たちにはお馴染の「おっちゃん」だった。 俺たちは高校時代、 何をするでもなく放課後の図書室でダベっていた。 放課後の図書室は一種のサロン状態だった。 その輪の中に用務員のおじさんもいた。 奥さんが車で迎えに来るのが夕方なので、 それまでの間 図書室で学生たちと雑談して暇を潰していたのだった。 陽気でぶっちゃけた人柄で、 皆から「おっちゃん」と親しまれていた。 そのおっちゃんが部屋の入り口に立っていた。 憮然とした表情で室内を見下ろしている。 おっちゃんに目が釘付けになる俺たち。 おっちゃんは何故、 俺たちがここにいるのを知っていたんだ? 偶然この宿に泊まっていたのか? …いや、おっちゃんは、 俺たちが高校三年の時、 交通事故で他界している。 図書室の有志で奥さんに追悼の手紙も出した。 間違いのない事実だ。 なんだ、何なんだこれ。 凍りついた雰囲気を破るように おっちゃんが口を開いた。 「お前らここにいたんか?」 「は、はい…いました…」 友人の一人が間抜けな返事をする。 皆、固まっていた。 ここにおっちゃんがいる事の異常性に 皆気付いているようだった。 おっちゃんはしばし、 気難しそうな顔で考え込み 「大変な事だぞ...」 とつぶやいて 廊下の向こうに去っていった。 「おい?見たよな?」 「似た人…じゃないよな…?」 こわばった顔を見合わせる俺たち。 団子になって恐る恐る廊下を覗いてみる。 薄暗い廊下には誰もいなかった。 「おっちゃん?おっちゃーん?」 恐る恐る呼びかけながら廊下を検分すると 突き当たりの共用トイレのドアから、 何かモヤのような白いものが漏れている。 「アレ何だ?」 「俺が開けてみる」 友人の一人が、 トイレ照明のスイッチをつけ、 意を決してドアを開く。 ぶわっ、と白いガスが渦巻いて 俺たちは軽いパニックになった。 「うわっ…」 ドアを開けた友人が絶句する背後からトイレを覗き込むと 真夏の盛りだというのに、 トイレの水は凍りついていた。 水ばかりではなく、 便器もタンクも白い霜に覆われ、 タンクの上に飾られた草花が ドライフラワーのように固まっていた。 その冷気が廊下の澱んだ熱気で モヤになったのだった。 俺たちは民宿側にトイレの凍結を伝えた。 おっちゃんの件は伏せて。 民宿のおじさんは最初、 俺たちの悪戯を疑っていた。 「スポーツの後のアイススプレーとか撒いたんじゃないの?」 「それっぽっちでこんな凍りませんよ!」 「むぅ…」 おじさんは俺たちの怯えようと、 トイレの完璧な氷結ぶりを見て疑いを捨てたようだった。 「冬場でも凍らないのに…」 と首をかしげながらも タンクと配管の検分を行い 「中の水がカッチカチだ。 今夜は使わないでね」 と一言。 溶け出した霜を受けるタオルを トイレの床に敷いて戻っていった。 用務員のおっちゃんは俺たちに何か伝えたかったのか。 大変な事とは何だったのか。 トイレを凍らせたのはおっちゃんなのか。 その時いた友人たちと、 会うたびに話題になるが何一つ結論は出ない。 あまりに不可解な夏の日の思い出。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった31
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
日刊ホリデイ(1)
センパイ、自宅警備員の雇用はいかがですか? THE COMIC 1【電子限定おまけ付き】 (ライドコミックス)
異世界のんびりキャンプ~聖獣たちの住まう島で自由気ままにスローライフを謳歌する~1巻 (グラストCOMICS)
世界で一番『可愛い』雨宮さん、二番目は俺。 THE COMIC 1【電子限定おまけ付き】 (ライドコミックス)
小さな魔道具技師のらくらく生産革命~なんでも作れるチートジョブで第二の人生謳歌する~1巻 (グラストCOMICS)
Sランクパーティーを無能だと追放されたけど、【鑑定】と【治癒魔法】で成り上がり無双1巻 (グラストCOMICS)
前の話:【洒落怖】一夜を共にする
次の話:【洒落怖】心残り
怖い話 No.17436
【洒落怖】同級生ママさん
1540
20
短編2分
怖い話 No.22220
【洒落怖】自殺を決行しました
804
19
怖い話 No.165
【洒落怖】臨死体験
2017
37
中編3分
怖い話 No.22358
【洒落怖】ごうち
朗読 OCCULT HITORI 怪談朗読ラジオ オカルトヒトリ
651
25
1
長編20分
怖い話 No.9861
【洒落怖】赤い髪の女性
2307
47
短編1分
怖い話 No.184
【洒落怖】少し手前で降りる事にした
朗読 めたんの怖い話紹介ch
2086
35
怖い話 No.2542
【洒落怖】うごめく髪の毛
朗読 りょりょの怪談チャンネル【作業用かいだん朗読】
1740
43
2
長編5分
怖い話 No.572
【洒落怖】3分間トンネル
1446
40
怖い話 No.22464
【洒落怖】隣のクレーマー
1017
怖い話 No.2207
【洒落怖】運命の人
1672
34
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
東京のアパート
アカマネ
男性紳士
イエンガミ
巨木
呪いは存在する
鳴り釜