怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
ゴリゴリ
お気に入り
1565
28
0
中編4分
コピー
「ゴリゴリ」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
今はもう亡くなってしまったばあちゃんの話。 終戦後、中国から引き上げて来て、 新潟に居を構えた母方の祖父母だ。 じいちゃんはなんとか仕事に復帰し、 家族はようやく何もないところから 人並みの暮らしで再出発ができようとしていた時期のこと。 じいちゃんの帰りはいつも遅かった。 当時、お袋の妹(おいらにとっては伯母さん)が 熱を出して寝込んでた。 多分風邪だったんだと思う。 なかなか熱が下がらず、 今でいう発熱性ショック状態だった伯母さんは、 苦しい息で布団のなか、喘いでいた。 風通しを良くしようと、 それぞれ東・南・北に向いた障子窓を すこしづつ開けておいたという。 東向きの障子窓の隙間からは、 昇りはじめた紅黒い満月が大きく顔を覗かせていた。 月明かりを受けた赤暗い部屋のなかで、 ばあちゃん、伯母さん、お袋は三人揃って 伯母さんの看病をしてた。 障子窓から、 風がひゅうと吹き込んできたのに気づいた伯母さんが、 それを閉めようと東向きの障子に手をかけたとき、 伯母さんは外に何かを見た。 なんだろ? 向こうの畦道から、 提灯の明かりが近付いてくる。 紅い月明かりの逆光で、 誰だかは判らない。 目を凝らすと、 何かをずるずると引きずっていることに気づいた。 「お母さん!お父さんが帰ってきたよ!」 伯母さんの氷嚢を変えながら、 ばあちゃんがいう。 「お父さんはそっちの道からは帰ってこないよ」 「じゃあ、あれはだれ?」 提灯の明かりは、 次第に近づいてくる。 そしてその速度が速くなってきた。 こちらに走って来ているのだ。 ずるずるずる!ずるずるずる!ずるずるずる! 引きずる音も大きくなる。 お袋も、この音に反応して、 不安そうに叫んだ。 「お父さんは、出る時、 こんな音のする荷物持っていかなかったよ!」 おばあちゃんはとっさに、 障子窓に飛びつき、 横で動けないでいる伯母さんに叫んだ。 「●子(伯母さんの名前)! 早くそれを閉めなさい!」 ぴしゃり… 言われるまま障子を閉めた、 その途端、 バァアアン! すごい音がして、 閉めたばかりの障子戸が大きく歪んだ。 障子紙が吹き飛んだ。 まだ身体の小さかった伯母さんは、 後ろにのけぞって尻もちをついてしまった。 ゴロ…ゴロゴロ…ゴリゴリゴリ! 次いで、漆喰の外壁を削り取るような音が、 向って右手の壁の向こう側を、 南へと移動し始めた。 その先には南向きの別の障子窓がある。 今度は、 ばあちゃんが転がるようにその窓にとりついて、 しっかりと身体で抑え込んだ。 ゴリゴリという音はそこを通り過ぎ、 西側に回り込んでくる。 その先はもう一つの部屋に続く、 西向きの引き戸だった。 「○子(お袋の名前)! そっちの戸をしっかり閉めなさい!」 必死に戸を押さえつけるお袋のすぐ向こうを、 ゴリゴリが通り過ぎる。 その先には北向きの窓があった。 「お母さん!怖いよ!」 「●子!北向きの窓を閉めなさい!」 伯母さんは泣きながら北向きの窓を抑え込んだ。 間一髪、 その向こうをゴリゴリが通り過ぎた。 ゴリゴリは、 とうとう家の周りを一周して、 北の窓から再び、 東向きの最初の障子窓にやって来ようとしている。 だが、三方を三人で守っているため、 窓を守れる人はもういない。 部屋の真ん中では、 伯母さんの喘ぎがひどくなってきた。 障子紙も破れてる。 その向こうに、血のように紅い、 大きい満月がこちらを向いていた。 表面のあばたが、 意地悪そうに笑っているように見えたという。 「お母さん!」 「それを見るんじゃない!」 それぞれに南・西・北を守っていた三人は、 しかし東向きの障子窓から目をそらすことができなかった。 障子紙が破れたその格子の向こうに、 金棒を振り上げた影がこちらを見ていた。 赤い鬼だった。 3人はそのまま気絶した。 朝、目を覚ますと、 3人は真ん中に伯母さんを置いたまま、 3方向の窓や戸を掴んだまま倒れていたという。 おじいちゃんが朝方に帰ってきたとき、 自分の家の壁に横向きに 何かを擦ったような深い傷がついていて、 びっくりしたそうだ。 それ以降、 おじいちゃんはなるべく早めに仕事を切り上げて 帰ってくるようになった。 幸いなことに、伯母さんの風邪は、 そのまま次第に完治したそうだ。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった28
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
いま注目されてる怖い話
フォロワーさんの本当にあった怖い話
2chまとめ 怖い話 短編集47話
実際にあった怖い話 2024年11月号
フォロワーさんの本当にあった怖い話 : 2 (アクションコミックス)
5分で読める! 誰かに話したくなる怖いはなし (宝島社文庫)
ほんとにあった怖い話読者体験シリーズ 12日間の悪夢
前の話:【洒落怖】誰も知らないテーマパーク
次の話:【洒落怖】人身御供
怖い話 No.9873
【洒落怖】音が聞こえない恐怖
1292
39
中編3分
怖い話 No.20364
【洒落怖】花が咲くと幽霊が出る
1695
46
1
短編2分
怖い話 No.8262
【洒落怖】アレ
1441
21
怖い話 No.2173
【洒落怖】ホテルでの肝試し
1402
52
怖い話 No.2226
【洒落怖】幽霊に会った
1836
48
怖い話 No.9464
【洒落怖】赤い服を着た女
2267
40
短編1分
怖い話 No.18241
【洒落怖】ヤツの仕業
1083
47
怖い話 No.22620
【洒落怖】2階の物置
687
22
長編7分
怖い話 No.2036
【洒落怖】危ない橋を渡る
1701
怖い話 No.21171
【洒落怖】Sデパート
1212
11
長編9分
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
袋叩き
ペイント
ばあちゃんの人形
呪いのエノキ人形
ラフレシアを求めて
読書家
拍子抜け
水泳部はほとんどが女子
自称犯人