怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
突堤の女
お気に入り
1270
23
0
中編4分
コピー
「突堤の女」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
友人の話。 深夜、漁港の突堤で釣りをしていた時のことだ。 普段なら同好の志が五、六名はいるものなのだが、 その夜は彼一人だけだったらしい。 「独り占め、独り占め」 そうポジティブなことを考えながら竿を振っていると、 どこからか声が聞こえてきた。 女性の泣き声のようだ。 突堤の端を見やると、 何やら白い影が蹲っている。 しゃがみ込んで、両手に顔を埋めていた。 髪が長い。 こんな時間にこんな場所ですすり泣いているなんて、 何かあったんだろうか? しばし悩んでから、声を掛けることにした。 「どうかしたんですか?」 そう声を掛けた途端、 泣き声がピタリと止まった。 しかしうずくまった影は、 ピクリとも動かないままだ。 そのまま見つめていたが、 やはり固まったように全く身動ぎをしない。 近寄って様子を見てみようかと思い、 釣り竿を下に置いて向き直った。 ギョッとした。 女は顔を上げて、こちらをじっと見ていた。 目の部分に眼球が見当たらず、 大きな黒い穴がぽっかりと空いている。 それでも友人には、 女が自分を見つめているのだと、 何故かはっきりわかったという。 同時に、おかしな事にも気がついてしまった。 女の側には明かりが一つもないのに、 どうしてあんなに細部まではっきりと見えるのだ? 女は相変わらず、動く気配を見せない。 サッサと逃げ出すことにした。 手早く道具を片付けて、荷物をまとめる。 肩に担ぐ前に再度、 向こうの様子を確認してみた。 女は立ち上がっていた。 しかし、やはり動いていない。 その時、ふと、奇妙な事を思いついた。 もしかしてこの女、 俺が見ていると動けないんじゃないか? 試しに目を一旦逸らしてから、 ゆっくりと女に向き直ってみる。 女はこちらに向かって歩き出す格好をしていた。 両手を前に突き出して、 片足を空中に停めたままで。 もう一度視線を外し、 今度はすぐに女に顔を向けてみた。 やはり固まった姿で動かないが、 どう見ても先程よりこちらに近づいていた。 まるで、“ダルマさんが転んだ”みたいだな。 そんなことを考えて苦笑した。 しかし、幽霊相手に遊ぶ気にはなれない。 そのまま背を向けて、 駐車場に置いた車まで走って逃げる。 振り向くと、突堤の入り口に立つ白い影が見えた。 ・・・嘘だろ。 移動距離を考えると、 あいつ、俺より速いぞ・・・ 慌ててトランクに荷物をぶち込んでから、 再び後ろを確認した。 女は僅か数メートルの位置にまで近寄っていた。 悲鳴を上げて運転席に飛び乗り、 エンジンを掛けるや否や車を出す。 出す瞬間、反射的にバックミラーを確認してしまった。 トランクカバーに両手をついた女の姿が映り込んでいた。 思い切りアクセルを踏み込み、 全速力で港から逃げ出した。 走っている際、 後ろを確認しないように注意したという。 外灯の多い街中まで帰ってくると、 やっと一息付けた。 あそこは結構通ってるけど、 あんなモノを見たのは初めてだな・・・ 赤信号で停車中にそんなことを考えていると、 交差点斜め向かいにある店舗の 大きなショーウィンドウに目が行った。 まるで暗い鏡のように、 ぼんやりと彼の車が映っている。 そして、その後ろに立っている、 両手を前に突き出した人影も。 ・・・憑いて来ちゃってる・・・ 真っ直ぐ帰宅するのを諦め、 一番明るくしているファミレスへ逃げ込んだ。 車から出る時も、店に入る前も、 入ってからも、絶対に後ろを見ることはなく、 また鏡の類いにも目を向けないように細心の注意を払った。 背後が壁になった席を選び、 夜が明けるまで、そこで凌ぐことにした。 空が白んできた頃、 ようやっと恐る恐る背後の駐車場に目を向けてみた。 不気味な影は何処にも見えなくなっていたそうだ。 安堵の余り、思わず涙が少し出てしまったという。 「だからそれ以降、絶対に一人じゃ、 夜中にあの突堤には行かないんだ」 最後に肩を竦めながら、 彼は私にこの話をしてくれた。 「・・・そんな体験しながら、 よく同じ場所に行けるよね・・・」 私がそう言うと、 彼はキョトンとした顔でこう言ってのけた。 「一人じゃなければ、ま、何とでもなるだろ」 釣りというものは恐怖心を鈍らせるのだろうか、 と呆れながら思った私だった。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった23
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
葬送のフリーレン(14) (少年サンデーコミックス)
片田舎のおっさん、剣聖になる~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~ 7 (ヤングチャンピオン・コミックス)
薬屋のひとりごと 15巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)
キングダム 75 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)
無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ 22 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
ブルーロック(33) (週刊少年マガジンコミックス)
前の話:【じわ怖】担当患者さんの容態が急変した
次の話:【じわ怖】彼女の望み
怖い話 No.13549
【じわ怖】朝から土砂降りだった
1258
33
短編2分
怖い話 No.5306
【じわ怖】死が近い
2385
39
短編1分
怖い話 No.13249
【じわ怖】きのこ狩りに行った
1545
25
1
怖い話 No.4680
【じわ怖】背後の靴音
1137
27
怖い話 No.15523
【じわ怖】家族でシンガポール旅行
1504
38
怖い話 No.12845
【じわ怖】子供の泣き声
1367
32
怖い話 No.21795
【じわ怖】ミミズと僕
1290
44
長編14分
怖い話 No.12184
【じわ怖】誰かが玄関のドアを叩いている
1164
52
2
3
長編48分
怖い話 No.12100
【じわ怖】娘と家の前で遊んでた
1656
55
長編5分
怖い話 No.12161
【じわ怖】ウサギ穴
1457
36
長編10分
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
熟女体験談逆周り
電気つけずに台所でバナナ食ってた
卒業式後の日曜日
苦労を支えあった義母との思い出
冒険生活送ってた
ジョージアの謎
コンビニの外にいた男
牙