怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
落とした物
お気に入り
1386
33
2
中編4分
コピー
「落とした物」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
夜。 雨の降る深い闇の林道で、1人の女が傘も持たずに佇んでいる。それを見たタクシーの運転手は、その様子を気味悪く感じながらも女の前にタクシーを停車させ乗っていくように勧めた。 女は黙って運転手を一瞥すると、後部座席に乗り込み一言「×××へ」とだけ言った。現在の場所から数十キロも離れた場所の名前であった。 そこまで歩いて行くつもりだったのか・・。運転中、2人の間に会話は無かった。 * * * *目的地に到着し、「着きましたよ」と言って運転手が振り返ると居るはずの女が消えている。タクシー運転手の間では有名な都市伝説の一つである。 無論、一般人だろうとこの話を知る人は多いだろう。しかし、多いだけで“実際にそれを体験した人”というのは一体どれくらい居るのであろうか?残念ながらその数は少ないと思う。 そんな中、昔タクシー運転手であった田中さんがこんな体験談を語ってくれた。その体験談は、どこかあの都市伝説に似ているような気がする。 当時タクシーの運転手だった田中さんがその女に出会ったのは、雨の強い夕暮れ時のことであった。半ば道路に飛び出すようにしてタクシーを止めに入ったその女を、田中さんは危うく轢いてしまうところだったという。 「本当に突然出てきたもんだから、ビックリしたな。最初は怒鳴ってやろうと思ったけど、あの様子見てたら・・・」その異様な様子に田中さんは怒鳴ることも忘れてしまったらしい。 この強い雨のなか傘も持たずに、布に包んだ赤ん坊を抱いた女は運転席側の窓を叩き続け「乗せてください」と呪文のように繰り返し呟いていた。「雨に濡れた長い髪が顔にベッタリ貼り付いててな、表情が読み難かったが歳は20代前半位か。 目が据わってたのが印象的だったな…それと――」――それと、赤ん坊の抱き方が奇妙だったという。右腕で赤ん坊を外側から丸め込むように片手で抱いて、残った左掌をその頭に置いていた。 別に撫でている風も無く、本当にただ赤ん坊の頭に手を置いているようだったという。田中さんは後部座席に女を座らせると、何処へ向かうのか訪ねた。 「とにかく近くの病院まで…子供が……急いで!」何と無く女の事情を理解した田中さんは、今の場所から一番近いであろう病院を思い出すと一気に車を走らせた。「運転中は喋れる雰囲気じゃなかったな。 バックミラーで何度かその女性の様子を見てたんだけど・・」女は俯いたまま我が子に何かを呟きかけていた。腕はあの“奇妙な抱き方”のまま崩す素振りは一度も見せなかったという。 話し掛ける勇気の出なかった田中さんは、その代り車の速度を上げると病院まで急ぐことにした。しかし、田中さんはすぐに自分の選んだ選択肢が間違っていたことを思い知らされたという。大雨のせいもあったのであろうか、突然変った信号で田中さんが急停止したところ、後部座席に座っていた女性がよろけて運転席の背中にぶつかってしまったのだという。 ベリッ女のぶつかった衝撃が消えると同時に、父の背後で嫌な音が響いた。「本当に、嫌な音だった。 まだ治りきっていない大きなカサブタを、思いっきり剥がしたことある?あれの何十倍も凄い音がしたな」何かの剥がれるような奇妙な音のすぐ後で、今度は何か重い物が「ゴトッ」と落ちるような音がした。何事かと思い田中さんが振り返ると、女は別段慌てる風も無く落とした何かを拾おうと座った状態から身を屈め、左手を伸ばして床をまさぐっていた。 信号が次に変るまでまだ余裕があったため、田中さんはその様子をずっと眺めていたという。さっきのこともあるため赤ん坊の安否も気になったのだが、身を屈めた女の胸や頭の下に隠れて赤ん坊の様子はわからなかった。 数秒後、目的の物を掴んだのか女の動きが一瞬止まった。身を起した彼女の左手には、よく分からない『何か』が鷲掴みにされていた。 丸く、紫がかった奇妙な塊であったという。女がその『何か』を掴んだままの左手を元の位置に戻すと、「クチュッ」という小さな音と共に先ほどと何ら変わらぬ“奇妙な抱き方”が完成した。その全ての動作を目にした田中さんは、何かに気付いたように目を見開くと、叫びに近い声でこう言ったという。 「降りてくれ!!金は要らないから、出てってくれ!!!」女は前に振り返った田中さんをバックミラー越しに睨み付けると、ロックの外れたドアを開けて大人しく出て行った。開きっぱなしのドアから雨音が間断なく響き渡ってきた。 ** * *「彼女が落とした物ってのは赤ん坊の生首だったんだ。可哀想に、詮索はしないが一度離れちまったものを彼女は必死にくっ付けようとしてあんな抱き方してたんだろうな。 それで急いで病院に連れて行こうとしてたわけだ」田中さんはそこまで一気に喋り終えると、何かを思い出したように顔を上げ溜息を吐いた。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
2人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった33
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
いま注目されてる怖い話
フォロワーさんの本当にあった怖い話
2chまとめ 怖い話 短編集47話 2ch洒落怖
実際にあった怖い話 2024年11月号
ちょっと怖い話1 フォロワーさんのひとこと体験談
フォロワーさんの本当にあった怖い話 : 2 (アクションコミックス)
5分で読める! 誰かに話したくなる怖いはなし (宝島社文庫)
名無し
田中さん冷たいなー
父の背後でって、なんで唐突に父が出て来る?
前の話:【洒落怖】七沢トンネル
次の話:【洒落怖】小学6年生の時の新聞配達
怖い話 No.9503
【洒落怖】ひょろ長い人
1602
26
0
1
短編2分
怖い話 No.8190
【洒落怖】隔離校舎
2144
32
怖い話 No.1954
【洒落怖】校庭にクーラーがかかっていた
876
37
怖い話 No.174
【洒落怖】私の代わりに・・
1731
怖い話 No.8629
【洒落怖】人の指
朗読 りょりょの怪談チャンネル【作業用かいだん朗読】
1507
51
長編6分
怖い話 No.21465
【洒落怖】うるさい
922
13
長編5分
怖い話 No.1688
【洒落怖】口紅の人
1389
29
中編3分
怖い話 No.2607
【洒落怖】失言
1567
短編1分
怖い話 No.2096
【洒落怖】私が見たもの
1119
27
怖い話 No.1310
【洒落怖】見苦しい
816
23
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
どうか呪わないで。 空き巣より
逆吸血鬼と存在しない町
一年に一度村を無人化
普通の彼女じゃない
あんた死ぬよ
降って沸いた心霊現象
好奇心
タヌキ
赤猫