怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
エレベーターの中で
お気に入り
1350
35
0
中編3分
コピー
「エレベーターの中で」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
予期せぬ時に予期せぬ出来事が起きると、どうして良いか分からなくなる。 これは、俺が先日体験した話。俺はその日、市内のデパートに買い物に行った。 デパートと言っても大手のところではなく、ちょいと古い小さなデパート。雨が降っていたこともあり、平日の昼間、お客はあまり居なかった。 俺は5階にある紳士雑貨で目当ての物を買い、さて帰ろうと思ってエレベーターに乗った。上から降りてきたエレベーターには、2人のお客が乗っていた。 ちなみにエレベーターーガールなんて洒落たものは居ない。4階に着き、お客は2人とも降りる。 エレベーターには俺1人。そのまま下がっていき、3階を過ぎたときだった。 突然エレベーターが止まり、電気も消えた。どうやら停電のようだった。 これには焦った。「うぉっ」とか素で言ってしまった。 誰も聞いてなくてよかった。しばらくすればすぐ動き出すだろうと思ったが、どうにも落ち着かない。 なにしろこのエレベーター、窓がない。しかもなぜか非常灯もつかないので完全に真っ暗。 このオンボロデパートめ。明かりが欲しかったので、俺は携帯を取り出した。 ぼうっと明るくなる。なんとなく落ち着く。 エレベーター内の奥に立っていた俺。携帯から顔を上げて何気なくドアの方を見た。 操作パネル板とは逆側の角に、誰かが後ろを向いて立っていた。よくある、髪の長い白い服を着た・・・というものじゃなかった。 暗くて色はよく分からなかったが、ワンピースを着たショートカットの女性だった。俺以外乗っているはずがないのに、そこに居た。 俺は固まった。ほんの数秒だろうけど、俺は動けなかった。 それを見たくなかったが、なぜか視線をそらせなかった。心の中で、お願いだから振り向かないでくれ、と祈った。 声も出さないでくれ、動かないでそのままじっとしていてくれ、と祈った。もしそいつがこっちを向いたり、何か、きっと恐ろしい声で何か言ってきたら、俺は永遠に叫び続けることになると思った。 自分の叫び声で気が狂ってしまうと思った。俺は携帯を切った。 今度は明かりが怖かった。馬鹿げてるかもしれないが、その明かりのせいで、そいつがこっちを向いてしまうのではないかと考えた。 徐々に暗闇に目が慣れてきた。そいつは相変わらず、角に頭を付けるような格好で、こちらに背中を向けて立っている。 俺はじっと固まっている。嫌な汗がたくさん出てきた。 ・・・するとそいつが動いた。背中を向けたまま、操作パネルの方に動いていった。 歩いている感じではなかった。滑るように、音もなく動いた。 俺はなんとか叫ぶのを堪えた。声を飲み込んだ。 そいつは操作パネルの前に立った。俺はもう、ガタガタ震えていたと思う。 もうダメだ、もう限界だ、と思った。そいつが手をあげて、最上階のボタンを押した。 暗かったはずなのに、そいつの指はよく見えた。爪も剥がれてボロボロの指だった。 そしてゆっくり振り向いて、低い、低い声でこう言った。「何階から、落ちますか?」死人の顔。 言葉では言い表せない。俺はそれと目を合わせてしまった。 いや、目なんてなかった。黒い眼窩を見た。 俺は限界を超えた。俺の身体が、叫ぶために息を大きく吸い込んだ。 さぁ声の限り・・・という瞬間、パッと明かりが点いた。エレベーターの稼動音がした。 アナウンスの声が聞こえた。「一時的な停電により、お客さまには大変ご迷惑を~・・・」そいつは消えていた。 俺は無事に、エレベーターから出ることができた。あとで、昔そのデパートの屋上から飛び降り自殺をした女性が居る、という話を聞いた。 ああいった古い建物にはよくある話かもしれないが、俺は信じた。俺はもう、あのデパートには行かない。 1人でエレベーターには乗らない。今度は無事に済む気がしない。 あの顔とあの声は、一生忘れられそうにない・・・。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった35
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
ひっそりと話題になってる心霊系の本
心霊探偵八雲1 赤い瞳は知っている (角川文庫)
となりの怪異談 (3) ~日常に潜む心霊ばなし~ (本当にあった笑える話)
不動清の心霊物件ファイル 合冊版 (素敵なロマンス)
絶対に行ってはいけない!最恐 心霊スポット大全
心霊探偵八雲1 完全版 赤い瞳は知っている 心霊探偵八雲 完全版 (講談社文庫)
心霊浄化師 神楽京 恐怖の地下屋敷
前の話:【洒落怖】ちょうど爪が伸び取ったで借りるわ
次の話:【洒落怖】妙なモノ
怖い話 No.2779
【洒落怖】ざんげの値打ちもない
4422
53
3
中編4分
怖い話 No.9225
【洒落怖】抜け落ちたシーン
1864
怖い話 No.1779
【洒落怖】ずぶ濡れのチー
1501
45
短編2分
怖い話 No.18085
【洒落怖】亡くなった方の『ある物』
1543
48
短編1分
怖い話 No.21123
【洒落怖】岩登り
1641
14
長編8分
怖い話 No.7361
【洒落怖】たすけて・・・
1264
44
2
怖い話 No.20228
【洒落怖】5階建ての乗員宿舎
1418
52
怖い話 No.22732
【洒落怖】地蔵の顔
924
24
怖い話 No.2675
【洒落怖】にょうらいさん
1590
怖い話 No.8918
【洒落怖】電柱になる夢
1377
51
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
剣鉈
これまで3回ほど異世界に行ったことがある
エレベーターの女
井戸の中
犬と外国人の幽霊
一番奥の個室
セールス先
消えた彼女