怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
注連縄
お気に入り
540
22
0
長編6分
コピー
「注連縄」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
俺の田舎の祭りに関する話を投下します。 俺は神戸に住んでいるんだけど、 子供の頃、オヤジの実家である島根の漁師町へ、 良く遊びに行ってた。 9歳の時の夏休みも、 親父の実家で過ごした。 そこで友達になったAと毎日遊びまくってて、 毎日が凄く楽しかったね。 ある日、Aが 「神社に行こう」 って言いだしたのね。 しかも、 「神社の社殿の中に入ってみようぜ」 って。 この神社についてまず説明させて下さい。 神社は山の上に立ってて、 境内にまず鳥居がある。 山から麓までは階段が続いていて、 麓にも鳥居。 それから、 鳥居からまっすぐ海に向かうとすぐに浜に出るのだが、 浜辺にも鳥居が立ってるの。 つまり、境内から海まで、 参道がまっすぐ続く構造。 ちなみに神明社。 話を戻すと、 俺はAについていって麓の鳥居の前まで来たんだけど、 神様の罰が怖かったのと、 なんだか妙な胸騒ぎと言うか、嫌な感じがしていたから、 「行かない」 って言った。 Aには 「この弱虫」 とかさんざん言われて、 癪だから随分迷ったんだけど、 結局俺は行かなかったのね。 それで、 20分ほど待ってたらAは戻ってきて、 「つまんなかった。 社の中にはなんもない。 鏡があるだけ」 と言っていた。 なんだそんな物かと、 俺はほっとした。 次の日には、 Aから弱虫呼ばわりされたのもケロリと忘れて、 Aとやっぱり遊びまくってた。 楽しい夏休みもいずれ終わる。 家に帰る時、 Aは見送ってくれて、再来を約束した。 A「またな、来年も絶対来いよ」 俺「おう。約束する」 で、次の年の夏休みも島根に来たんだけど、 俺は御馳走されたスイカを食べながら、 「明日は、Aと遊びたい」 と言ったら、 ばあさんと叔父さんの顔が急に曇ったのよ。 (ちなみにじいさんはずっと前に亡くなってます) 叔父「あのなあ、 お前はA君と仲良かったから黙ってたんだけど、 実はA君は死んだんだ」 俺「えっ」 叔父「夏休みが終わって、三日程してかな。 海でおぼれちまって……」 もう俺はショックだった。 昨年の事を思い出して、 もしかしたら神社の罰かもと思ったけど、 まさか社殿に入っただけで、 神様が祟り殺すはずはないよなーと思い直した。 それから話が飛んで、 俺が大学生の頃、オヤジが亡くなりました。 オヤジが亡くなった年の12月初旬に、 叔父さんから電話があって、 大晦日から元旦にかけて行う、 オヤジの地元の祭りに参加しろとのことだった。 「おっちゃん、俺、神戸なんだけど。 交通費もかかるし、参加しなくてもいいでしょ」 『馬鹿、お前、 兄貴が亡くなったから、お前が本家の当主だぞ。 ○○(俺の名字)の本家が祭りにでないなんて、絶対に駄目だ。 兄貴も毎年参加して、元旦に神戸へUターンしてただろ』 「おかげでお袋は、 『その祭り、本当に参加しなきゃいけないの!』 って、毎年ぷりぷりしてだけどね」 『ああ、言い訳は良いから』 と言われて、 しぶしぶ祭りに参加させれる事にちまった。 当日、大晦日の20時に付くと、 叔父さんがイライラして待っていた。 「おせーぞ。19時には着くって言っただろ」 「ごめんごめん、 松江で鯛飯食ってたらから。 でも祭りは21時からだから、 十分間に合うでしょ」 「馬鹿、潔斎する時間を考えろ」 俺は潔斎と言われて驚いた。 そんなに本格的な神事なのか? 俺は慌ただしく風呂場で潔斎して、 オヤジのお古の家紋入り羽織袴を着せられ、 祭りの会場の浜まで走って向かった。 浜には、やはり羽織袴の人達がいっぱいいる。 この祭りは女人禁制どころか、 各々の家の家長しか参加が認められいないものらしい。 時間が来たら、 神主さんが海に向かって祝詞を唱えて、 神様をお迎えする。 後は参道を通って、 境内まで神主さんを先頭に、 松明に照らされてぞろぞろと行列。 神様を社殿に鎮座させた後は、 能や神楽等が催されて、 一晩中、飲めや踊れやの大騒ぎで一晩過ごす。 飲みまくるのは神人共食神事?って奴かな。 酒飲んで良い気分になってふらふらしてきた頃、 社殿をぼーと見てたら、 なんだかおかしい事に気付いた。 注連縄なんだけど、 左が本、右が末になってる。 つまり、逆に付けられてんだよね。 なんだこりゃ、と思いつつも酔ってたから、 余り深く考えなかった。 次の日、なんとなく気になって、 叔父に注連縄の事を尋ねてみた。 「ねえ、神社だけどさ、注連縄逆じゃない」 「なに、お前、そんな事も知らずに祭りに参加してたのか」 「だって、オヤジも教えてくれる前に死んじゃったし、 おっちゃんも教えてくれてないでしょ」 「そうか……すまんな。 じゃあ、きちんと説明しておくか」 「頼むよ」 「あの神社なあ、 神明社で天照大御神を祭ってある事になってるけど、実は違う。 ご祭神はもっと恐ろしい物だ」 「えっ、そうなの」 「明治時代に、各地の神社の神様が調査されたんだけど、 役人がこの土地に来た時、 単に土地の者は神様って呼んでただけで、 神様の名前は知らなかった。 何しろ昔の人間は、 神様の名前なんて恐れ多くて知ろうともしなかったし、 興味もなかった。 それで、役人が適当に神明社ってことにしたらしい。 こうやって、各地の無名の神様が、 記紀神話の神様と結びつけられてったんだな」 「じゃあ、何の神様か分かんないんだ」 「いや、名前が分からんだけで、どんな神様かは分かる。 お前、御霊信仰って知ってるか」 「知ってる。 祟り神とか怨霊をお祀りして鎮めることで、 良い神様に転換して御利益を得るやつでしょ。 上御霊神社とか天神様とか。……まさか」 「そうだよ。 海は異海と繋がってるって言われるだろ。 だから、良くない物が時々海からやってきてしまう。 特にここら辺は地形のせいか、潮のせいか、 海からやってきた悪霊とか悪い神様が、 あの浜には溜まりやすいらしいな。 それが沢山溜ると、漁に出た船が沈んだり、 町に溢れて禍をもたらしたりする。 だから溜る前に、 こっちから神様をお迎えして神社に祭る。 それが祭りの意味だよ」 叔父さんは続けて語った。 「だから、注連縄はあれであってる」 「えっ、どういう事」 「注連縄って、 穢れた人間が神域に這入ってこれない様に。 つまり、外から内に入れない様張り巡らすもんだろ」 「そうだね」 「あの注連縄は逆。 内から外に出れない様に張り巡らされてる。 つまり、神様が外に出れないように閉じ込めてんだよ」 俺は昔を思い出してぞっとしたね。 昔、Aが社殿に入り込むと言う事が、 どれだけ無謀で危険な行為か理解できた。 Aはむざむざ外に出れないように閉じ込められている悪霊、 悪神の巣に入って行った訳だ。 もし俺があの時、 Aの話を断れずについて言ってたらと思うと……。 背筋が凍りついて、 気が付くと手に汗でじっとりと濡れていた。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった22
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Amazon無料でスグに読める本
お隣さんの騒音がすごい どこかの誰かの体験談マンガ
日本生まれのインド人、メタ・バラッツのスパイスカレーユニバース (インターネットオブスパイス)
転生してから40年。そろそろ、おじさんも恋がしたい。 二度目の人生はハーレムルート!? 1 (アース・スターコミックス)
パラドックスループ-うまくいかない私たち-
まいみ!
嘘つきな彼氏(推し)を懲らしめた話 1 ますまゆまんが!集
前の話:【洒落怖】同調
次の話:【洒落怖】古き神降臨
怖い話 No.7169
【洒落怖】視線の種類
朗読 ホラーの泉-洒落怖まとめ【ゆっくり怪談】
1958
42
怖い話 No.10219
【洒落怖】郵便物
1297
39
短編2分
怖い話 No.14880
【洒落怖】昔話
1756
47
怖い話 No.9595
【洒落怖】何度も通っていたトンネル
1563
中編4分
怖い話 No.22549
【洒落怖】神の戦い
812
16
1
怖い話 No.7207
【洒落怖】冗談だよ
1334
30
怖い話 No.17561
【洒落怖】一人分より多い人
1139
24
怖い話 No.7902
【洒落怖】メモ
1397
41
短編1分
怖い話 No.7237
【洒落怖】コードブルー
874
37
中編3分
怖い話 No.2604
【洒落怖】マンション暮らし
1573
20
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
どうか呪わないで。 空き巣より
逆吸血鬼と存在しない町
一年に一度村を無人化
普通の彼女じゃない
あんた死ぬよ
降って沸いた心霊現象
好奇心
タヌキ
赤猫