怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
フタ
お気に入り
1316
24
1
0
中編4分
コピー
「フタ」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
これはOLとして働きながら一人暮らしをしていた、 数年前の夏の夜の話です。 私が当時住んでいた1DKは、 トイレと浴槽が一緒になったユニットバスでした。 ある夜、沸いた頃を見計らって、 お風呂に入ろうと浴槽のフタを開くと、 人の頭のような影が見えました。 頭部の上半分が浴槽の真ん中にポッコリと浮き、 鼻の付け根から下は沈んでいました。 それは女の人でした。 見開いた両目は正面の浴槽の壁を見つめ、 長い髪が海藻のように揺れて広がり、 浮力でふわりと持ちあげられた白く細い両腕が、 黒髪の間に見え隠れしてました。 どんな姿勢をとっても、 狭い浴槽にこんなふうに入れるはずがありません。 人間でないことは明らかでした。 突然の出来事に、 私はフタを手にしたまま裸で立ちつくしてしまいました。 女の人は呆然とする私に気づいたようでした。 目だけを動かして私を見すえると、 ニタっと笑った口元は、 お湯の中、黒く長い髪の合間で、 真っ赤に開きました。 『あっ、だめだっ!』 次の瞬間、 私は浴槽にフタをしました。 フタの下から、 ゴボゴボという音に混ざって笑い声が聞こえてきました。 と同時に、 閉じたフタを下から引っ掻くような音が…。 私は洗面器やブラシやシャンプーやら、 そのあたりにあるものをわざと大きな音を立てながら 手当たり次第にフタの上へ乗せ、 慌てて浴室を飛び出ました。 浴室の扉の向こうでは、 フタの下から聞こえる引っ掻く音が 掌で叩く音に変わっていました。 私は脱いだばかりのTシャツとGパンを身につけ部屋を飛び出ると、 タクシーを拾い、一番近くに住む女友達のところへ逃げ込んだのです。 数時間後…深夜十二時を回っていたと思います。 カギもかけず、また何も持たず飛び出たこともあり、 友人に付き添ってもらい部屋へ戻りました。 友人は今回のような話を笑い飛ばすタイプで、 好奇心旺盛な彼女が浴室の扉を開けてくれる事になりました。 浴室はとても静かでした。 フタの上に載せたいろんなものは 全部床に落ちていました。 お湯の中からの笑い声も、 フタを叩く音もしていません。 友人が浴槽のフタを開きました。 しかし、湯気が立つだけで、 女の人どころか髪の毛の一本もありません。 お湯もキレイなものでした。 それでも気味が悪いので、 友人に頼んでお湯を落としてもらいました。 その時、 まったく別のところで嫌なものを見つけたのです。 私の身体は固まりました。 洋式便器の閉じたフタと便座の間から、 長い髪がゾロリとはみ出ているのです。 友人もそれに気付きました。 剛胆な友人は、 私が止めるのも聞かず便器のフタを開きました。 その中には、 女の人の顔だけが上を向いて入っていました。 まるでお面のようなその女の人は、 目だけを動かすと竦んでいる友人を見、 次に私を見ました。 わたしと視線が合った途端、 女の人はまた口をぱっくりと開き、 今度はハッキリと聞こえる甲高い声で笑い始めました。 はははははは…ははははははは…。 笑い声にあわせて、 女の人の顔がゼンマイ仕掛けのように小刻みに震え、 はみ出た黒髪がぞぞぞぞっ…っと便器の中に引き込まれました。 顔を引きつらせた友人は、 叩きつけるように便器のフタを閉じました。 そしてそのまま片手でフタを押さえ、 もう片方の手で水洗のレバーをひねりました。 耳障りな笑い声が、 水の流れる音と無理矢理飲み込もうとする 吸引音にかき消されました。 その後は無我夢中だったせいかよく覚えていません。 気が付くと、 簡単な着替えと貴重品だけを持って、 私と友人は友人の部屋の前にいました。 部屋に入った友人は、 まず最初にトイレと浴槽のフタを開き、 「絶対に閉じないでね」 と言いました。 翌日の早朝。 嫌がる友人に頼み込んで もう一度付き添ってもらい、 自分の部屋へ戻りました。 しかし、 そこにはもう何もありませんでした。 それでも私はアパートを引き払い、 実家に帰ることにしました。 通勤時間は長くなるなどと言っていられません。 今でもお風呂に入るときは、 母か妹が入っているタイミングを見計らって入るようにしています。 トイレのフタは、 家族に了解をもらって ずっと外したままにしてあります。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった24
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
私の日常。
Get Backers 奪還屋【極!単行本シリーズ】1巻
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 13 (ドラゴンコミックスエイジ)
BLUE GIANT MOMENTUM(3) (ビッグコミックススペシャル)
ぼっち・ざ・ろっく! 7巻 (まんがタイムKRコミックス)
ドカ食いダイスキ! もちづきさん 1 (ヤングアニマルコミックス)
前の話:【洒落怖】千日前
次の話:【洒落怖】はじめてのかていか
怖い話 No.21268
【洒落怖】地下トイレ
1245
21
短編2分
怖い話 No.10302
【洒落怖】ねぇ、どこ?
1041
35
怖い話 No.22895
【洒落怖】事故車のオコシ
807
5
怖い話 No.9347
【洒落怖】黒い布おばさん
1938
51
怖い話 No.22317
【洒落怖】取り憑かれてる
749
20
長編5分
怖い話 No.1866
【洒落怖】お母さんはここにいるよ
1367
25
短編1分
怖い話 No.7638
【洒落怖】十九地蔵
1500
36
怖い話 No.8649
【洒落怖】雨中のくねくね
朗読 瑠璃ガキの怪談朗読
739
55
怖い話 No.1714
【洒落怖】切ないけど怖い
1747
49
怖い話 No.7340
【洒落怖】夢から覚めても
1335
26
中編3分
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
どうか呪わないで。 空き巣より
逆吸血鬼と存在しない町
一年に一度村を無人化
普通の彼女じゃない
あんた死ぬよ
降って沸いた心霊現象
好奇心
タヌキ
赤猫