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渓流
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2年前の話。 俺は渓流釣りが趣味で、 ウチの近くの川の源流部へよく釣りに行っていた。 車で30分程度の距離、適度な水量、 あまり険しくない流れなど、 1人で行ってもさほど危険を感じないような場所である。 3月には珍しいくらいの大雨が降った翌々日、 俺はその渓流へ入った。 車を降りてから最初のポイントまで行く間に、 砂防ダムを一つ越える必要がある。 歩きながらふと砂防ダムの上を見ると、 大きな鹿がいた。 いつもなら人影を見ると逃げるのだが、 この日は全く動こうとしなかった。 砂防ダムの下まで来ると、 そこには足でも滑らせたのだろうか、 すでに冷たくなっている子鹿の姿があった。 すると、砂防ダムの上の鹿はこの子の親か。 親鹿は悲しげな表情をしたまま森の中へ消えていった。 俺は子鹿のために小さく合掌をしてから、 その場を後にした。 いきなり自然の現実を目の当たりにしたためか、 それとも曇天のせいか、 この日は足取りが妙に重かった気がする。 さて、竿を出して釣行を開始する。 大雨の後に釣り人が入った形跡は全くない。 この川では珍しいライズ(魚の飛びはね)も確認できる。 いつもなら小躍りするような好条件なのだが、 この日はどうもおかしかった。 何でもないような所で根掛かりをしたり、 木の枝に引っ掛けたり、木の根に躓いたり、石の上で滑ったり… その時は大雨の影響だろうと考えていたのだが、 今考えると、まるで『奥へ進むな』と言う警告だったような気がする。 右膝と臀部に打撲を負った。 しかし、魚だけは良く釣れていた。 こうなると釣り人の性か、 前へ進まずにはいられない。 もう少し、もう少しだけ…二段淵まで行こう… 『二段淵』とは、 巨大な岩盤に囲まれた絶好のポイントである。 ここに着くまでに右肘と右手の甲に擦り傷が増えていたが、 なんとか二段淵に到着し、ほっと一息ついた。 水量が少し多い他はいつもと変わらない景色… のはずが、何かおかしい… 淵全体の雰囲気がいつもと違った。 いつもなら下流に向かって気持ちよく風が吹いているのだが、 この日は無風。 ライズも影を潜め、 川から生命感が無くなっていた。 さらに、不気味なほどの静寂… そう、鳥の鳴き声一つ聞こえないのだ。 奇妙に思いながらも、 ここまで来たからにはと竿を出した。 案の定、当たりは全くない。 もう終おうか…と思った矢先、 二段淵の上の淵で魚が跳ねるのが見えた。 上の淵へは、 川の上流に向かって左側の大きな岩を ぐるっと回り込んで行かなければならない。 しかし、さほど危険ではないので、 最後に上の淵を攻めてから終わることにした。 上の淵に竿を出すと一発で掛かった。 大きい! 慎重に取り込む。 上がった魚は50cmを越えるイワナだった。 しかし… 確かにイワナなのだが、 ガリガリに痩せている。 産卵後のイワナを見たことがあるが、 それよりも遙かに痩せ衰えている。 餌が豊富なこの渓流で、 今までこんな痩せた気味が悪い魚は見たことがない。 もう帰ろう。 釣った魚を逃がして竿をたたんだ。 帰り支度を整えて振り向くと、道が…ない! 先ほど登ってきた道… そこには苔むした岩と老木が、 まるで何十年もそこにあるように道を塞いでいた。 半ばパニックになりながら別の道を探した。 下流を向いて左側の岩伝いに、 何とか下の淵へ行けそうである。 躊躇なく岩に飛びつき、 足場を確認しながら下流へ向かうことにした。 少し進むと、 「お~い」 と頭の上の方から声が聞こえた。 歩を止めて上を見るが、 崖の上に人の姿はないようだ。 もっとよく見ようと少し戻り、 頭上に張り出した木の根を掴んだ。 その瞬間!! 「おいっ!!」 背後からの大きな声が… そして、 自分が掴まっていた岩が足場ごと岩盤から剥がれた。 ドガガアアァァン… 岩は大きな音を立てながら淵の中に落下していった。 オレは木の根を掴んだ状態で宙づりになっていた。 もし手を離していたら、 今頃は淵の底で岩に押しつぶされていただろう。 まさに紙一重だった。 上の淵の砂地の所へ戻ると、 両足がガクガク震えている。 全身に鳥肌が立ち、 気持ち悪い汗が止まらなかった。 さっきの声は…? 辺りを見回したが、 声の主らしき人は何処にも居ない。 ふと気付くと、 さっきは岩と老木があった場所に『登ってきた道』が見える。 オレは少しでも早くこの場を離れたくて、 無我夢中で川を下った。 翌日、近所の爺さん(釣りの師匠)にこの話をした。 すると、 「川が呼んどったんじゃろうなあ。 けど、無事だったのは、山がお前を助けてくれたんじゃな。 川が呼ぶ日がある。山の呼ぶ日もある。 どちらも怖いよ。 そういう日は深く入らねえほうがええ」 もっと早く教えてくれよ師匠…。
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