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怪人二十面相と小林少年
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俺の爺さんは十年ぐらい前に、痴呆症(今で言う認知症)ってヤツになったんだが、最初は物忘れ程度だったものの、そのうち明らかに言動がおかしくなってきた。で、時々“自分は別の人間だと思い込んでしまう”症状が出始めた。その“別の人間”ってのが、なんとあの江戸川乱歩の『怪人二十面相』だった。爺さんは昔どっかの劇団に入ってて、二十面相の役を演じた事があったらしいが、医者が言うには、どうもその頃のイメージが強く出てしまった結果という話だった。 しかも爺さんは、親父=明智小五郎、俺=小林少年だと完全に思い込んで、何かにつけ俺と親父を相手に、困ったイタズラを仕掛けるようになってしまった。初めの頃は、俺を便所に閉じ込めて「ははは、どうだね小林君」とか言ってみたり、親父の腕時計をコッソリくすねて、冷凍庫の中に隠しておいたり程度の話だったんで、まぁ困るっちゃ困るけど、俺も親父も爺さんを責めたりしないで適当にあしらってた。いつも二十面相状態ってわけでもなかったし、また始まった~みたいな感じで。でも、そうやって調子に乗らせてたのが、今思えば良くなかったのかもしれない。しばらくして、事件が起きた。その頃はもう、朝のウンコ中に便所に閉じ込められる事は日常茶飯事だったから、いつものように「参った二十面相!」って呼びかければ、開けてくれるはずだった。しかし、その日は何度呼びかけても反応がなかった。通常、ドアを爺さんが押さえて閉じ込められてたんで、思いっきり蹴る事もできず、俺はただ大声で「参った!もう降参だよ!」と叫び続けるだけだった。すると外からゴソゴソと音がして、やっとドアが開いたと思ったら親父だった。ドアの前に脚立が突っ張り棒みたいに仕掛けてあったそうだ。親父は「その日着て行くスーツが見当たらなくなった」と、方々探し回っていた。そこへ突然、お袋の悲鳴が。「キャー!泥棒ー!」急いで台所へ駆け付けてみると、窓に男の足がぶら下がって見えたと言う。どうやら、屋根の上に誰かが登って行った途中を目撃したようだった。俺と親父はその瞬間ピンと来た。「まさか、爺ちゃんじゃねーか?」慌てて裏口へ出てみると、案の定それは屋根に登ろうとしている爺さんだった。なぜか親父のスーツを着ている。おそらく親父に変装しているつもりなのだろう。何か風呂敷包みを小脇に抱え、1階屋根から2階屋根へとさらに登ろうとしている。俺達はもう青くなって、急いで2階へ駆け登り、部屋から屋根へと出てみた。しかし、その時点でもうすでに爺さんは、2階の屋根の上に登り切ってしまっていた。焦る俺達を尻目に、爺さんはヨタヨタと立ち上がり、何か言い始めた。「わはは、明智君に小林君。今頃気付いても遅いよ。これは確かに頂いたからな」そう言った瞬間、爺さんの足がズルッと滑り、そのまま俺達の方へ転がって来た。ウワッ!と思ったがもう遅い。爺さんは俺達を巻き込んで1階の屋根の上に落下。そのまま3人で屋根を転がり、その勢いで親父が弾き飛ばされた。俺は何とか爺さんを食い止めようと思ったが、意外に勢いが強くて回転が止まらない。アッと言う間に屋根の縁まで転がり、とうとう下に何もなくなってしまった。俺はその瞬間、死ぬ!ってマジで思った。だが同時に爺さんを守ろうとも考えた。結果、俺は爺さんを抱くような形のまま、爺さんもろとも地面に落下。爺さんは軽いかすり傷程度で済んだが、俺は腕を強く打ち骨を折るハメになった。その後わかった事だが、爺さんが屋根の上で「確かに頂いた」と豪語していたのは、床の間に置いてあった、北海道土産の木彫りの熊だった。爺さんはその事件の衝撃のせいか、以来完全に二十面相と化してしまった。言動もますますヤバく、また騒動起こされたらたまったもんじゃないって考えもあり、さらに爺さん自体にガンが発覚したので、それから入院生活を送る事になった。入院後の爺さんは、見る見る内に弱っていった。だが二十面相のプライドなのか、見舞いに行くといつも大げさな口ぶりだった。それから3ヵ月の間、俺はいつも小林少年として爺さんと付き合うようにした。ある晩、容態が悪化したと連絡を受け、夜中に家族3人で病院へ駆け付けた。爺さんは呼吸器のような物を付けられ、すでに意識朦朧とした状態だった。俺が「爺ちゃん!爺ちゃん!」といくら呼びかけても、何の反応もなかった。もうダメなんだ・・・と思った。すると親父が何を思ったか、「おい二十面相!情けないぞッ!」と叫んだ。俺はともかく、親父は普段のらない人だったんで、ちょっとビックリした。親父は泣きながら、「明智小五郎の勝ちでいいのかッ!いいのかッ!」と叫ぶ。俺もボロボロと涙を流しながら、「にじゅうめんそぉーーー!」と一緒に叫んだ。爺さんは意識を取り戻さないまま、それから30分後くらいに逝ってしまった。だが、最後の最後で俺の頬を軽く撫でてくれた。『明智のような名探偵になれよ、小林君!』とでも言っているように思えた。爺さんが亡くなってから、今まで霊感の無かった俺が幽霊を見るようになった。ある時は若い男、ある時は年増女。最初は気付かないが、何となくカンでわかる。すると霊は、ニヤッと笑って消えていく。『よく気付いたね』とでも言うかのように。さすが変装の名人。怪人二十面相は、懲りずにあの世で張り切ってるようだ。
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