怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
お馬の親子
お気に入り
1241
41
1
0
長編6分
コピー
「お馬の親子」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
父と妹の話。4年ほど前、父が肺がんで亡くなりました。過労やストレスなどもあり、余命半年の所が2か月で。父は大変子煩悩で、遅くできた末妹をとても可愛がっていましたし、また、末妹も極度のファザコンと言えるぐらいに、父とはべったりでした。 「いつも笑い顔でいろ」と言う父の言葉を体現するかのように、妹は太陽のように明るい笑顔。生まれた時から妹は内臓に疾患があって病弱だったけど、父はそれでも大変可愛がってました。父が倒れてから、妹は東京での仕事を辞めて帰郷し、付きっ切りで看病しました。変わり果てた父の傍で、妹はいつも手を握って話しかけていました。「父ちゃん、あれ(テレビに映ってる食べ物)美味しそうだね。父ちゃん早く治ってよ。兄ちゃんに連れてってもらおう」笑顔でうなずく父。「父ちゃん、父ちゃんが知らない美味しいお酒、いっぱい私知ってるよ。父ちゃんへのお土産にも買ってきたよ。だからね、父ちゃん、一緒に飲もうね。おうち帰って、一緒に飲もうね。父ちゃんの好きなレバニラとか、塩ホルモンも食べようよ」酒好きの父、それは俺と妹に受け継がれています。酒の話に、とてもうれしそうになる父。思い出の曲を静かに歌う妹と、耳を傾ける父。『お馬の親子』という曲は、父がまだ幼かった妹を背中に乗せて、よく歌っていた曲でした。散歩に出かけた時も、手をつないでいつも一緒に歌っていました。父が携帯電話を持った時、妹は父からの着信音を『お馬の親子』にしていました。父の逝く日の夕方、父は妹に『休め』と口の動きで伝えました。それを見て渋った妹ですが、父が余りにも言うので、付き添いの人用の仮眠室に行ったそうです。そして、父は逝きました。妹以外の家族と、兄弟たちに見守られて。起こされた妹が父の傍に行くと、手を握って、まるで狼の咆哮にも似たような声で10分ほど大泣きしました。病棟全体に響き渡るような大声でした。父の事で妹が泣いたのはそれっきりです。葬儀の最中、悲しみに暮れる家族をしり目に、妹はいつもの笑顔でした。母親が「父さんが死んだのが悲しくないのか?!」と常時詰っていましたが、妹は笑っていました。「やっぱり頭が春なのよ…」と噂する親戚や近所の人も居ました。妹は小さいころから少し特殊なところがありましたので。でも妹は、気にせず笑顔のままでした。火葬も終わり、父の遺骨が家に帰ってきた日、夕飯を食べ終わって、妹と伯父(父の兄)がたばこを外で吸っている時の会話が、何気なくすぐそばの俺の部屋に聞こえてきました。「おじちゃん、あのね。私、父ちゃん死んで嬉しいわけじゃないよ」「解ってる。お前が一番悲しいの、おじちゃん解ってる」「一番悲しいのは、母ちゃんだよ。兄ちゃん達も姉ちゃんも、みんな泣いてるのに、私涙でないの」妹の優しさに涙が出ました。そして、妹につらく当りつづける母に辟易したりもしました。「あのね、父ちゃん死んじゃった時、私寝てたじゃん」「うん、疲れてたんだな。2か月ろくに寝てなかっただろう」「父ちゃんが寝ろって言ったの。でもね、変な夢見たの」妹の話す話は、こうでした。妹が家の茶の間に居ると、よそ行き姿の父が大きなかばんを持って、「おう、行くからよ~」と言って玄関に向かったそうです。「どこに行くの?」と妹が言うと、「ちょっとよぉ」とにこっと笑ったそうです。履きなれない革靴を履くのに手間取っていたので、妹は父がいつも履いていたサンダルを、ビニール袋に詰めて持たせたそうです。「どこに行くか知らないけど、父ちゃんすぐ帰ってきてね」「すぐには無理だなぁ。OO、いっつも笑ってるんだぞ。笑ってれば、良い事がたくさんあるからよ」そう言って妹の頭を撫でると、玄関から出て行った。家の前には大きなバスが止まっており、たくさんの人が乗っていたそうです。それは子供だったり大人だったり…でもその中に、亡くなった祖母や、父の友人たちの姿も見たそうです。運転手は、ずっと運転免許を欲しがっていた母方の祖父だったそうで。「おばあちゃんの隣にはね、父ちゃんがメガネかけたような人がいたの」「それ、お前たちのじいちゃんだよ。そうか、そうか…迎えに来たのか」と伯父が言って泣きました。父方の祖父は、父が若いころに他界しています。きっと、妹を可愛がっていた父が、少しでも悲しみを和らげてあげようと見せた姿なのかもしれません。それから程なくして妹は再び上京し、仕事を始めました。大晦日も働くぐらい忙しい職場。でも元旦の朝には、会社がお雑煮や餅を振舞ってくれた。寒空の下で、それを仲間達と頬張りながら談笑し、少し視線を移すと、父がにっこり笑って頷いていたそうです。父は妹の所にちょくちょく現れるようで、なんだか「本当に死んだのか、親父」と思ったりもします。俺や別の兄弟の所にも現れた事は2回ぐらいなのに、やっぱり父は妹がとても心配なんだろうな。妹に何かありそうな時には、ケータイ電話から『お馬の親子』の着メロが流れると言います。それは父が『危ないよ』と教えてくれているのかも知れません。父はたぶん、妹の守護霊みたいになって見守っているんだろうなと思います。もうすぐ俺も『父』になります。親父みたいな優しくて強い父になりたいです。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
1人が登録しています
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった41
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
Switch売れ筋
Pokémon LEGENDS Z-A(ポケモン レジェンズ ゼットエー) -Switch
桃太郎電鉄2 ~あなたの町も きっとある~ 東日本編+西日本編
ドラゴンクエストI&II - Switch
ぷよぷよテトリス2 スペシャルプライス - Switch
スーパーマリオギャラクシー + スーパーマリオギャラクシー 2 -Switch
鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚2 - Switch
前の話:【じわ怖】変な形の染み
次の話:【じわ怖】民宿の中を探検
怖い話 No.12631
【じわ怖】雪深い山の現場
1620
35
短編2分
怖い話 No.12482
【じわ怖】大声を上げながら周りを威嚇していたおっさん
1428
33
中編4分
怖い話 No.11693
【じわ怖】さとり
1614
23
短編1分
怖い話 No.4052
【じわ怖】6年間住んでいた賃貸マンション
1493
38
怖い話 No.12706
【じわ怖】川から流れてきた
1234
32
怖い話 No.21890
【じわ怖】某MMOの古参
1501
22
長編7分
怖い話 No.19286
【じわ怖】わたしは このさきの へやに いるよ
1228
怖い話 No.5496
【じわ怖】妨害電波
2089
怖い話 No.20629
【じわ怖】回る私
1244
48
怖い話 No.12967
【じわ怖】石馬
1222
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着じわ怖
S奈のお父さん
カーナビの示した位置
ベランダに女の影
国産うなぎ
マンションの屋上
占い師
窓に立つ男
幽霊の正体
自殺頭痛
友達からの葉書
医学は万能じゃない
嫁の日記を読んだ
新着コメント
戦艦長門
若い女子を食う山姥
無灯火の自転車
アンティークのぬいぐるみ(猫)
自称犯人
便所借りる!
父さんが布団に入ってきた
ぬこは一生に一度だけ人語を話すという