怖い話登録数18393話
恐怖感アップダークモード
(0件)
▼コンテンツには広告が含まれています
✕
恐山
お気に入り
1989
33
0
長編5分
コピー
「恐山」の朗読動画を探しています。YouTubeでこの話の朗読動画を見つけたらぜひ投稿していってください。
※YouTubeのURL必須
開始時間
00時間00分00秒
投稿する
学生時代に恐山に行ったときの話をしましょう。 忘れもしない大学2年の夏、 ヒマを持て余していたサークル仲間六人で、 どっか肝試しに行こうかということになりました。 それまでにも夜の火葬場で花火をしたり、 幽霊が出ると評判の廃墟で酒盛りをしたりしていた我々。 先輩に 「オイK(私)、 青森で一番怖いとこつったらどこよ?」 と聞かれ、とっさに 「恐山じゃないっすかねえ」 と答えてしまいました。 よし、んじゃ今から行くかってことで 先輩のワゴンに六人乗り込み、 青森県弘前市から恐山へ。 その時すでに 21時半過ぎだったと記憶しています。 弘前市から恐山まではまあ、 三時間もあれば着くだろうと。 青森市を抜け、 恐山のある下北へむかう国道279号を走る頃には、 もう対向車もなくなっていました。 そう言えばこの道も、よく車の上に ボロボロの着物を着た老婆がのっているのが 目撃されているとのこと。 取るに足らない都市伝説だとしても、 このえんえんと続く暗闇の一本道の途中では 思い出したくない話です。 ちょっと重くなった空気の中、 先輩が怖い話を始めました。 先輩の友人が金縛りに遭い、 さんざん霊に苦しめられたとか、 そういうありがちな話。 ただ、その話の中の友人が 毎晩金縛りに遭うのだけれど、 決まって金縛りが始まる時刻が午前2:14だった、 というのが妙に頭に残りました。 むつ市を抜け、 『恐山』と書かれた道路案内を頼りに進むと、 いつの間にか辺りはすっかり山道です。 一本の街灯もなく、 山道特有のつづら折れの道になりました。 と、急カーブにさしかかった時、 車のライトが何かを照らし出しました。 …何体も並んだ地蔵です。 その後もカーブを曲がるたびに地蔵が立っていました。 なかなか怖い雰囲気になってきました。 恐山に到着したのが午前一時ごろだと思います。 車を停め、 でかい門の前にきたものの、 門は固く閉じられていました。 とりあえず門の前で記念撮影。 さて、せっかくここまで来たのに入れないのは悔しい、 と全員で中に入れないかどうか辺りをうろうろしていると、 門から少し離れたところに、 簡単に通り抜けられそうな木の柵が。 実を言うと その時点で私自身は恐山の不気味な雰囲気にのまれ、 一刻も早く帰りたい気分だったのですが、 先輩たちはみんな中に入ってしまいました。 こんなところで一人待つのはもっと嫌なので、 ヤケクソで先輩たちのあとを追いました。 少し歩くと でかいお寺のようなものがありました。 真っ暗なので頼りは 先輩の懐中電灯だけです。 お寺の脇を抜けると いきなり世界が一転、 岩だらけのごつごつした 何とも気味の悪い場所に出ました。 よく見ると足下には 小さな石を積んだものがいくつもいくつもありました。 たしか幼くして死んでしまった子どもために 親が積んだものだとか。 さらに気味が悪いのは無数にある風車。 恐山は火山であるため、 風車は火山特有の硫黄臭く生温かい風に吹かれてまわっています。 暗闇でからからとまわり続ける無数の風車… それを見ただけで私は本当に引き返したくなりましたが、 先輩Mは何を思ったか足下にあった風車を、 あろうことが抜いてしまったのです。 「先輩、やめた方がいいっすよ」 と言う私に、 「記念に、と思って」 と言って歩き出すM。 思えば、 それがよくなかったのでしょうか…。 岩場を抜けると 普通の道に出たような気がします。 なにぶん真っ暗なので、 頼りない懐中電灯の明かり以外 本当に何も見えません。 とにかく道なりに歩いて行きました。 私はマジで怖かったので、 隣を歩いていたSと雑談して なんとか気を紛らわせていました。 が、いきなり先輩が 「しっ!!」 と言いました。 立ち止まる六人。 オーンオーンオーンオーンオーンオーンオーンオーン… 最初聞こえるか聞こえないかだった低い音は、 不定期に近くで聞こえたり遠ざかったり…お経です。 本当に怖いと声も挙げることができないのだと そのとき初めて知りました。 誰かが何か言っただけで 絶対パニックになることは間違いありません。 だれもが恐怖で動けず、 実際は1、2分の出来事だったのでしょうか、 我々を取り囲んでいたお経は次第に遠ざかり、 いつしか止んでいました。 静寂。 先輩が 「もどろう」 と言いました。 帰り道は誰もが無言。 車に乗り込んだとき、 本当にみんなホッとしていました。 先輩がエンジンをかけました。 走り出した車の中、 全員疲れ切った様子でした。 さっきのことを誰も話そうとはしません。 いきなり、本当にいきなりです。 エンジンが止まりました。 止まってしまった車。 わけが分からず、 みんな運転手のSを見ました。 Sもあわててキーをまわします。 キュウルルキュウルルルル… エンジンはすぐかかりました。 が、今度はいくらアクセルを踏んでも 車が前に進まないのです。 リアタイヤが空回りする音だけが響きます。 誰も何も言わない… 言えない時間。 ふと運転席の近くにあったデジタル時計が目に入りました。 2:14でした。 表示が15に変わった瞬間、 いきなり車は発進しました。 その後、車は一度も止まることなく進み、 むつ市の明かりが見えたとき、 やっと先輩が 「怖かった…」 とつぶやきました。 翌日現像した、 みんなで門の前で撮った写真には、 我々の前を通り過ぎる 長い光の筋のようなものが写っていました。 以上が私の恐山での体験です。 その後、別に不幸事などはなく平和に暮らしていますが、 もう遊び半分でああいうところに行くことはないでしょう。
怖い話を読んでいると霊が寄ってくる?不安な方はこちらがおすすめ
感想や考察があればぜひコメントで教えてください ↓コメントする
この話は怖かったですか?
怖かった33
次はこちらの話なんていかがですか
続きを読む
※既読の話はオレンジ色の下線が灰色に変わります
漫画売れ筋
私の日常。
Get Backers 奪還屋【極!単行本シリーズ】1巻
乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 13 (ドラゴンコミックスエイジ)
BLUE GIANT MOMENTUM(3) (ビッグコミックススペシャル)
ぼっち・ざ・ろっく! 7巻 (まんがタイムKRコミックス)
ドカ食いダイスキ! もちづきさん 1 (ヤングアニマルコミックス)
前の話:【洒落怖】合同葬式会場
次の話:【洒落怖】市松人形が欲しくなった
怖い話 No.7398
【洒落怖】毎年恒例
1590
29
中編4分
怖い話 No.2096
【洒落怖】私が見たもの
1119
27
短編2分
怖い話 No.10454
【洒落怖】こっちはいつもの愛想のいいオバチャンだった
1350
41
1
短編1分
怖い話 No.8775
【洒落怖】田辺メール
2081
24
怖い話 No.9909
【洒落怖】息子の奇行
1302
43
中編3分
怖い話 No.22774
【洒落怖】インドネシアの家
843
9
怖い話 No.8996
【洒落怖】増築
789
怖い話 No.1799
【洒落怖】息子の寝言
2075
39
怖い話 No.20962
【洒落怖】ドアノック
962
34
怖い話 No.14822
【洒落怖】すごく古い病院
1431
28
心霊サイト運営者
全国心霊マップ
ghostmap
プロフィール
Twitter
新着洒落怖
留守番電話
舞台学科による演劇
分譲現場
謎の会話
たけのこ掘り
かんのけ坂
4階のベランダから落ちた友人
林間学校で登山
自転車に乗っている夢
雄別炭鉱
運動会?
坪の内
新着コメント
どうか呪わないで。 空き巣より
逆吸血鬼と存在しない町
一年に一度村を無人化
普通の彼女じゃない
あんた死ぬよ
降って沸いた心霊現象
好奇心
タヌキ
赤猫