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廃道
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俺は元々ずっと関西に住んでたんだが 嫁が元々九州の人間なので 結婚して俺が九州に出向く形でこっちへ来て生活してる。 しかし元々俺は関西にずっと居たわけだから 当然友達も一人も居ない。 嫁も仕事してるんだけど、 休みの日はできるだけ合わせるようにはしてるんだが 当然合わない時もある、 俺は元々廃墟、廃道とかに興味があって よく嫁にも一緒に行こうと誘うが当然嫌がれるので、 休みの合わない時は一人で車に乗って 山道のたまにある細い廃道のような草木の生い茂る枝道に車を進める。 だいたいは草木で途中で道がなくなってて、 あーこれは無理だわな、ってなって、 Uターンは道が細過ぎてできないので ずっとその枝道の入り口までバックしていくんだわ。 時には何キロもバックする時もある。 まぁ前置き長くてすまんな。 それでこの間も休みの日の昼間に その探検みたいなんを車でしようとしてたのな。 ずっと山奥の方まで行ってたんだが しばらくしたら周囲が開けて ちょっとした集落みたいなんが見えたんだ。 まぁ当然と言うか、廃墟の村だったんだけど、 ちょっと外に散策しに行こうとしたんだが その時ちょうど雨がザーっと降ってきて諦めたんだよ。 んで道は今いるこの申し訳程度にひいたアスファルトがある農道のような道しかないんで そのまま真っ直ぐ進んだんだけど、 しばらく走ってゆるやかなカーブの終わりに いきなり目の前に境界線を引いたように暗い鬱蒼と茂った森が現れた。 しかも、ちょうどその森が始まる所から 道が土と砂利が混じった悪路に変わった。 俺は正直ワクワクしたよ。 こう言う人が立ち入らなそうな道は大好きだからな。 けど、そのワクワクが後で後悔する事になるんだが、 それでその森にゆっくり車を走らせた。 まぁ道が悪い事悪い事。 見た目以上にガッタガタで、 車バラバラになるんじゃね?くらいの悪路だった。 それからしばらくその悪路をゆっくりガッタガタ言わせながら走ったんだが、 10キロ程進んだ時にとうとう道が生い茂る草木で見えなくなってしまった。 もうこっから先は車ではいけんなと思って、 いつもなら車置いて少し歩くんだが 雨がまだ強い降っていたんで あきらめてバックしようとして後ろを振り向いた。 その時だ。 俺は振り向いたその時に強い違和感を感じた。 と言うか、今左側に確実になにか居た。 前を向いてて振り向く時の一瞬しか見えなかったが 確かになにか居た。 寒い、異様に寒い。 もう6月なんで いつもなら雨が降っててもじめじめしてて 少し暑いくらいなのに今は異様に寒い。 で、でも、実際見間違いじゃ?と頭によぎり 見てみたい衝動にかられてしまった。 まぁ実際そんなお化けや化け物なんか居るわけないわな と自分を落ち着かせてゆっくり左を見た。 それが間違いだった。 俺の車の左側には 草木の生い茂る中に一人の人間のようなものが居た。 居たと言うか実際は吊るされて居た。 そう、首吊り死体である 元は白い作業着だったのだろうか、 雨風で茶色く変色した作業着を着ている多分だけど男の死体だった。 顔は…思い出したくもない。 もう人間の顔ではなかった。 俺はそれを見た瞬間 すぐさま自分の顔を後ろに向けると 車にガンガン石や木が当たるのもお構い無しに鬼バックをした。 俺はその時に思い出した。 5キロくらい戻ったとこに Uターンできるくらいの空地があったと。 俺は無我夢中でバックした。 まさかこんな目に合うなんて… そう思いながら俺は後悔をしまくった。 その時は五キロ地点の空地まで 一回も前を向かなかったんだが、 車が石や木に当たる音以外に コンコンとなにか軽いノックのような音も聞こえていて、 それがバックしてる時にずっと気になっていた。 しかしもうすぐ五キロ地点と思った俺は 少し安心して居た。 ここまで来たら後はもう大丈夫大丈夫と。 それで俺はその空地まで戻ってきた。 よし、これでもう普通に運転して帰れる。 そう思って俺は前を向いた、が、 フロントガラスにあれが居た。 半分白骨化した指先で フロントガラスをコンコンしている。 あのコンコンはその音だったのだ。 俺は間近で見た腐乱死体と恐怖で 吐き気がして盛大に吐いた。 吐いた時に一瞬だが気を失いかけた、 と、思って顔をあげると 何故か辺りは夕方になっていて死体もなかった。 俺はゲロだらけになりながらも 車を運転し家に帰ったが、 今思うとあの死体はあんな誰もこない山奥で首を吊って このままでは草木がどんどん成長して自分の身が隠れてしまって、 誰も発見してくれないんじゃないんだろうかと後悔して 誰でもいいから連れて帰って欲しかったのかもしれない。 まぁそんなん俺がしったこっちゃないがな。
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