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大事なものを枕元に置く
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2013
30
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長編6分
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人を選ぶ話だけど よかったら聞いてくれ… 怖い出来事や心霊現象に遭遇した時って 自分の好きな漫画本や小説をそばに置くと良いよ と友達から聞いたんだが ガチだったんだな。 アパートで生活してるんだが、 金縛りばかりにあう。 大学で特に友達付き合いにも不満はないし ストレスなんて皆無なのに頻繁にそれは起こった。 そのせいで講義中もボーっとする事が多くなったし 食欲も激減 寝るのが怖いくらいだった。 今日もまた金縛りに会うのかな… と布団の中にもぐるが、 今度は金縛りにプラスαで出やがった… 顔が真っ白で青い着物を着た女の人が 目の前にぼーっとうつってる。 目が真っ黒でどこを見てるのか… 突如俺の布団に手を入れて 俺の手をぎゅっと握ってきた。 んでもって 俺をぐいぐい力強く引っ張る。 夢の中とは言え怖くて怖くて 必死に抗おうとするも体が動かない。 体をじたばたさせて暴れようともがいたら やっと目が覚めた。 もう体中汗でびしょびしょだった… そして金縛りのたびに現れるようになった 青い着物の女の幽霊 俺の手をぐいぐい引っ張ることもあれば 俺が寝てる布団の周りを ぐるぐる歩き回るだけの時もある。 そして無表情で俺を見下ろしているだけの時も 怪我をしている部分を思い切り握られたこともある。 夢の中でも痛かった。 こう言う事が頻繁に起こるようになり ひとりでトイレに行くのも億劫になり ストレスも限界になった。 御払いをして貰おうと近場の神主さんに相談しても 霊なんてついてないようだけど…と言われ (一応御払いはしてもらった) 改善せず金縛りは続いた。 元気が無く若干やつれ気味で 講義を受けてると友達がわざわざ心配して 相談に乗ってくれた 神社とかでお払いしても金縛りがぜんぜん取れなくて、 着物の幽霊が部屋を徘徊してる夢ばかり見る事を素直に伝えた。 すると友達は 「そういう時は 自分の大切にしているものを 枕元に置いたりしておくといいかもな」 とアドバイスしてくれた 大切な物といっても お守りとかその手のものは家には一切ない。 大切なものっていわれてもなぁ… と悩んでる際に 「たとえば自分の好きな漫画や小説とかでもいいんじゃないかな」 と言われたので とりあえず試してみることに んで枕元に自分の好きな小説 「鷲尾須美は勇者である」を置いて寝ることにした。 しかし金縛りは相変わらず起きて 何も効果が無かった。 当然気を紛らわせるための行為でしかないのもあるし、 それがお守りだろうとなんだろうと 効果なんぞ最初から期待してなかった。 相変わらず青い着物の女性が 俺の寝てる周りをウロウロして冷や汗で目が覚める。 で、ある日夢に変化が訪れた。 夢の中で青い着物の幽霊が 俺の真横で正座して座ってる。 こんな間近に来る事なんてなかったのに… そしてにたぁと笑った後 俺の首を絞め始めた。 体が動かないし夢の中なのに苦しい 「>?wsdaweww」 と何を言ってるのかわからない声で 俺の首を絞める女 振りほどけないし 早く終われ夢!と祈っても目が覚めない しかし、 なぜか急に女の首を絞める力が弱まり 息苦しく無くなった 「ぎゃぎゃぎゃぁ!」 と着物の女が目の前で悶え始めた。 よく見ると 着物の女の体に矢みたいなものが刺さってた 苦しみながら徐々に消えていく着物の女。 そして目の前に現れたのは どこかで見た事のある女の子だった。 よく見ると枕元に置いた小説の主人公の女の子、 鷲尾須美だった。 着物の女が消えたのを確認すると 俺の所まですたすた歩いてきて 笑顔で微笑んだ うっすらとその子も消えかかっていて、 その最中に俺の頭にそっと手を載せて 「遅くなってごめんなさい… 後この本は…燃やしてください…」 と一言言い残し消えた。 起きると 相変わらず汗でびっしょり。 まだ朝の3時だったので もう一度着替えて寝ることにした。 小説の表紙を改めて見直し、 効果があった!と喜んだ こんなことってあるんだなぁ…と 再び眠りについたら かなしばりにはまったくあわず ぐっすりと眠れた おかげさまで講義に遅れる始末。 後日友達に改めて礼をいった。 「へえ、本当に効果あるんだなぁ…」 とてきとーに答える友達だったが 俺はひたすら礼を言い続けた。 もともとはまった小説だし、 今後もお守りとして枕元におこうと思った。 夢の中で 須美の「燃やしてください」の言葉を忘れて… 1週間くらいたって 大学のコンパに参加した。 酔っ払って家に帰り そのまま布団に寝そべり寝ようとした。 そして1週間ぶりに感じる嫌な感覚 再び金縛りに襲われてしまったのだった。 夢の中で 「なんで!?」 と叫んでいた。 須美が助けてくれたはずなのに!?と しかしそこに現れたのは着物の女ではなく 1週間前に俺を助けてくれた鷲尾須美だった。 しかしあのときの笑顔は無く、 青白い表情で目が真っ黒。 依然俺に付きまとった着物の女と同じ雰囲気だった。 無言で俺の上にまたがり 首を絞めようとしてくる… 体が動かずにどうしようもなく、 再び苦しみ悶えるが 首を絞めながら須美が涙を流してた。 そして小さい声でぼそっと 「早く…本燃やして…じゃないと」 と喋った直後目が覚めた。 そして我に返って須美の最初の言葉を思い出し、 俺は最初に行った神社に小説を持って向かった。 神主さんにそれを説明した跡に小説を渡すと 「かわいらしい表紙だけど なんか憑いてるかもなこりゃ…」 と表情をゆがめた。 結局御祓いしてもらい お焚き上げしてもらうことになった。 その後金縛りに会うこともなくなった。 神主さん曰く 思い入れの強いものが守護してくれるときがあるらしく それが具現化して悪霊を本に封じてくれたんじゃないかと… 神主さんも詳しくはなんともいえないと言っていたが 俺もそう思うことにした 後日小説を買いなおして枕元においてるが かなしばりに会ってないが、 夢の中でぼそっと一言耳元で 「よかった…」 と安心するような声がした。 それ以降その手の夢は見てない。 決して宣伝とかじゃなくて 金縛りとか不幸に悩ませられる事があったら 自分の大事にしてるものを枕元に置くと良いと言う例だと思って読んでほしい
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